先端パッケージングの中でもとくに性能やコストを左右するのは、複数のチップをつなぐ土台の役割を果たす「インターポーザー」と呼ばれる部品。今回、ラピダスは「600ミリパネルを使った樹脂製のインターポーザー」を用いた開発を行っていくと明かした。小池社長は「従来品と比べて10倍の枚数が取れるため大幅なコストダウンにつながる」と強調した。

実現できれば、高性能化に加えて製造コストも大幅に削減できる夢のような技術だ。開発では、ドイツにある欧州最大の応用研究機関であるフラウンホーファーなどとの連携も打ち出した。

だが栗田氏は「ラピダスが開発しようとしているのは、(提携相手の)フラウンホーファーが2022年の学会で『これ以上の高性能化はできない』と結論づけたスペック以上のものだ」と解説する。

これまで栗田氏は、ルネサスエレクトロニクスや東芝などでパッケージング技術開発を行ってきた。NEC時代には、現在量産されている樹脂製のインターポーザー技術を提案し開発を進めた、いわばこの技術の生みの親でもある。

それほど難易度の高い技術だけに、パッケージング技術でも先頭を走るTSMCでもいまだ研究開発の域を出ない。コストや性能面でのメリットは多いものの、いつ量産技術として採用できるかさえ不透明だという。

TSMCも後工程への投資を強化

技術を確立できたとしても、ビジネスとして軌道に乗るかどうかは別の問題だ。装置の納期などを考慮すれば、実際の開発が始まるのは早くとも今年末以降。前述のような難易度の技術の習得は来年4月の試作ライン稼働のタイミングにはまず間に合わないうえ、2027年までに量産体制を整えるハードルもかなり高い。