2014年3月31日のグランドフィナーレから10年を迎える『森田一義アワー 笑っていいとも!』(フジテレビ系。以下、『いいとも!』)。タモリ(本名・森田一義)が司会を務め、いまだ復活待望論が多い同番組について、社会学者で文筆家の太田省一さんが振り返ります(本稿は、太田さんの新著『「笑っていいとも!」とその時代』から一部を抜粋、再編集したものです)。

「つながり」の魅力

『いいとも!』の復活を望む声は、根強くある。

たとえば、『ORICON NEWS』が2018年に実施した調査では、『いいとも!』は『SMAP×SMAP』などを抑えて「復活してほしいテレビ番組」の1位になっている。

この調査は10代から50代の男女1000人を対象にしたものだが、結果の内訳を見ると、30代と40代で1位、50代で2位であっただけでなく、より若い年齢層の20代で3位、10代でも2位に入っている。

『いいとも!』が始まった1980年代から見ていたひとも多そうな40代後半以上の層が、復活を望むのはわかる。

ただその一方で、30代から下の若い世代でも変わらず上位に来ているのが目を引く。ここからひとつわかるのは、『いいとも!』という番組が、単に懐かしさだけで復活を望まれているわけではなさそうだということである。

その理由はなんだろうか? むろん番組の面白さは大前提にある。だが、面白い番組はほかにもたくさんあるだろう。そのなかで『いいとも!』が特に記憶に残っているとすれば、その面白さの質になにか秘密があるはずだ。

そのヒントになりそうなことが、番組開始当時の番組ディレクターの発言にある。