小学校に入学した直後は同級生へのいたずらが度を越えてしまい、親が呼び出されることもあった。社会科見学の際は担任教師から「外では面倒をみられない」と言われ、学校で1人自習をさせられたという。

ユウイチさんは「自分では冗談のつもりが、やりすぎてしまう。当時は自覚がありませんでしたが、落ち着きのない、問題行動の多い子どもだったと思います」と語る。

エスカレートするいじめ、教室に居場所はなかった

空気の読めない子どもがいじめのターゲットになるのに時間はかからなかった。小学校では髪の毛にガムを付けられたり、筆箱に唾を吐かれたりした。中学校に入ると水筒の水を飲まれたり、マッサージを強要されたり、10人ほどのクラスメートからかばんを自宅に届けるよう命じられたりするなど、いじめは陰湿化。女子生徒からも「邪魔だよ、パシリ!」とののしられるなど教室に居場所はなかったという。

高校では教科書を勝手に売り払われたほか、「1000円」「2000円」と書かれた紙切れを渡され、購買にパンを買いに行かされた。パンは自腹で買わされ、さらにお釣りと称して現金も巻き上げられたという。また、無理矢理万引きをさせられた場面を携帯で撮られ「ばらされたくなかったらもう1回やれ」と脅された。もはや犯罪である。

匿名で教師に手紙を出して助けを求めたこともあるが、事態は変わらなかった。一度だけ、いじめに気が付いた中学校の担任教師が加害者たちを叱ってくれたが、逆にクラスの大半が教師を無視するようになり、学級崩壊状態に。ユウイチさんは「この先生には自分のせいで迷惑をかけてしまったと、今でも申し訳ない気持ちになります」と目を伏せる。