都心を中心にマンションの価格が高騰しています。価値観の変化やテクノロジーの進化など時代が大きく変革している今、マンションの購入や売却、また資産性向上には確かな判断力がより一層、求められるようになってきました。そこで本記事では、さくら事務所会長で不動産コンサルタントの長嶋修氏による著書『マンションバブル41の落とし穴』から一部を抜粋、再編集し、価格が同じなら中古より新築を選ぶほうがお得なのか、またリノベーション済みの中古物件で見るべきポイントはどこかについてご紹介します。

不動産業界でも「ステルス値上げ」

昨今のマンション価格の上昇には、一部マンションへの需要の集中のほか、人件費や資材価格の高騰も影響しています。

工事現場の責任者(現場代理人)や職人は常に不足しており、結果として人件費が上昇。

また、木材や鋼材などの建築資材も世界的に値上がりし続けており、不動産デベロッパーは膨張したコストを吸収するために、マンション価格を高くせざるを得ない状況です。

とはいえ、マンション価格を引き上げすぎると、一般のファミリー層には手が届かなくなります。

そのため、新築マンションでも価格を一定レベルで据え置いている物件は多いのですが、こうしたマンションが「お買い得」というわけではありません。

価格の抑えられた新築マンションは、少し前に建てられた同価格帯のマンションと比較すると専有面積が狭かったり、内装・設備のグレードがダウンしていたりすることがあります。

インフレでさまざまな食品が値上がりするなか、価格を据え置いて内容量を減らす「ステルス値上げ」が話題になりましたが、不動産業界でもステルス値上げが起こっているのです。たとえ同じ値段でも、面積が狭くなっているなら実質値上げです。

不動産デベロッパーからすると、150㎡強の広い住戸を一つ作るよりも、70㎡の住戸を2つ、あるいは50㎡の住戸を3つ作ったほうが売りやすく、実入りも多くなります。そのため、最近の新築マンションでは一戸あたりの専有面積を減らし、分譲戸数を増やすパターンが目立ちます。