2023年も高速道路は多客期を中心に長い渋滞が発生しました。ただ、年始から渋滞予測が大きく外れるなど、人々の行動の変化が見られた1年でもありました。特に長い渋滞が発生するポイントも変わってきているのかもしれません。

年末年始の渋滞予測に反して始まった2023年

 2023年も高速道路は多客期を中心に長い渋滞が発生しました。人々の行動や、特に長い渋滞が発生するポイントにも変化が見られた1年でした。2024年はどうなるでしょうか。

 まず、2022〜2023年の年末年始は、高速道路会社が発表した事前の渋滞予測が大きく外れる結果となりました。

 12月28日〜1月4日の8日間でトータルの交通量は2021年度同期と同程度だったものの、10km以上の渋滞の発生回数は64%という結果に。うち、30km以上の長い渋滞は、東北道の上りで発生した1回のみ(1月2日久喜白岡JCT付近、最大31.5km)で、「最大50km以上」の渋滞が予測されていた東名高速の上り線ですら25.4km(横浜青葉IC付近)が最大。昨年度よりも大幅に緩和されていたのです。

 NEXCO中日本はこのときの予測精度を「73%」とし、「特に上りのピークとされていた1月3日にヤマが来なかった」と話していました。その理由の一つに考えられるのが、「移動の分散」です。

 2023年1月の3が日明け、1月4日は水曜でしたが、5、6日も休みにして次の3連休とつなげる人が多く、いわゆるUターンラッシュが分散したと考えられています。

 そしてこれは、2024年も同じ傾向かもしれません。

 実際、阪急交通社が11月末に発表した年末年始期間の旅行予約状況では、国内旅行の出発ピークが12月31日(日)、1月4日(木)、1月5日(金)とされていました。いずれも、年始1月4日、5日を休みにすれば、成人式の3連休とつないで10連休以上になる人も多く、旅行代金に割安感のある3が日後の1月4日出発に人気が集まっているようです。

 さて、2023年の高速道路を再度振り返ると、ゴールデンウイークは出かける人も多く、2022年度と比べ交通量は106%に。関越道(下り線)の藤岡JCT付近では54.0kmという長い渋滞も発生しました。ただ、コロナ中に行われた数々の渋滞対策の影響もあってか、30km以上の長い渋滞の発生回数は74%減、コロナ前の2019年度比だと39%まで激減しました。

 そうしたなか、お盆期間には、「最も長い渋滞」にも異変が起こりました。

お盆の全国最長渋滞は「圏央道」だった

 2023年お盆期間、「全国で最も長い渋滞」が発生したのは、東名でも中央道でも関越道でも東北道でもなく、「圏央道」の八王子JCTを先頭とする渋滞でした。8月10日(木)内回りで48.9kmを記録。原因は「交通集中および緊急工事」とされています。

 こうした多客期で圏央道にて全国最長の渋滞を記録したのは初めてと思われます。このときは単純に距離で計算すると、埼玉県の桶川北本IC付近まで渋滞が延びていたことになります。

 中央道と圏央道が交わる八王子JCTは近年、混雑が激化しています。山梨方面へ向かうクルマが増える休日午前を中心に、圏央道の内回り・外回り双方に渋滞が延びる傾向です。

 この原因は、中央道下り線の相模湖IC付近を先頭とした激しい渋滞も影響していることが分かっており、対策として現在、下りの相模湖IC出口車線を東京側へ約2km延長し、車線数を増やす(付加車線)ことでピンポイントに交通容量を増大させる工事が行われています。

 中央道では、上り線の渋滞ポイントとして知られる「小仏トンネル」に並行して上り線用の新トンネルを建設する対策とともに、下り線側でも対策が進んでいます。