首都圏でも大型の道路建設事業のひとつ「東埼玉道路」。あと2年以内に開通するというその延伸部の終点は、一面の農地のなかにありました。周辺はどう変わるのでしょうか。

2025年度に開通する「東埼玉道路」 終点は“まだない”

 首都圏で進む道路建設事業のなかでも、開通年度が明示されている大型の道路のひとつが国道4号「東埼玉道路」です。幅員50mという巨大道路が「2025年春頃」に約3.8km、延伸する予定です。
 
 2024年4月現在、その終点付近では、一面の田畑のなかに新しい道路が姿を現しつつあります。

 東埼玉道路は八潮市の外環道(国道298号)から北へ、春日部市へ通じる予定で、国道4号バイパスのさらにバイパスにあたります。沿道には国内最大級のショッピングモールであるイオン越谷レイクタウンがあります。この道路は一般部(側道)と道路中央の専用部からなり、一般部がレイクタウン北側の吉川市内まで先行開通しています。

 一般部は前出の通り、2025年春頃に松伏町田島まで約3.8kmが延伸開通予定。同地点までは専用部も2020年に事業化されており、一般部、専用部ともに当座の終点となるのが仮称「浦和野田線IC」です。

 しかしながら、現時点で接続道路となる浦和野田線は未完成であり、東埼玉道路と同じく“形ができてきた”くらいの状態です。

 浦和野田線は、千葉県野田市に至る江戸川の「野田橋」へと通じる県道越谷野田線のバイパスです。越谷市の国道4号より西側は国道463号バイパスとして、さいたま市方面へつながっていますが、東側は元荒川や東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、大落古利根川に阻まれる形で細切れに開通しています。

 さらに、野田橋手前の100mは事業化もされていません。国土交通省 北首都国道事務所によると、2025年の東埼玉道路の延伸開通時は、浦和野田線の越谷方面のみと接続するL字型の線形となる見込みだそうです。

野田橋がさらに混む?

 東埼玉道路は、浦和野田線の北側を通る越谷野田線ともつながらないため、東埼玉道路から野田橋へ向かうには少なくとも2度の右折を経て越谷野田線を利用するしかなさそうです。

 その野田橋は2車線であるため交通容量が小さく、現時点でも慢性的な渋滞が発生しています。開通から年月が経ち老朽化も進んでおり、周辺自治体は架け替えと4車線化が“急務”であるとしつつも、埼玉・千葉両県にまたがる区間でもあるため具体化していません。

 野田橋以外で江戸川を渡って埼玉・千葉両県を行き来できるポイントは、約4km下流の玉葉橋、もしくは約7km上流の金井野大橋(国道16号)に限られます(東武線の江戸川橋梁は除く)。そのため野田橋にはどうしても負荷がかかりがち。東埼玉道路の開通が野田橋の混雑に拍車をかける可能性すらあります。

 東埼玉道路の一般部は、浦和野田線からさらに北、国道4号バイパスまでの整備も着々と進んでいます。ひとまずは浦和野田線までが開通し、その変化を踏まえて周辺の道路整備が進んでいくようです。