能登半島地震から2カ月「鳥取県緊急消防援助隊」発生直後の被災地派遣経験から知る「今できる備え」
鳥取県の緊急消防援助隊として被災地の石川県輪島市に派遣された隊員の経験を通じ、改めて、今できる災害への備えについて考えます。
嶋村采音アナウンサー:
「これが被災地に入った車ですか?」
鳥取県西部消防局・恵美平さん:
「そうです、こちらの車両です」
こう話すのは、鳥取県西部消防局の消防隊員、恵美平さん。
キャリア約30年のベテランです。
現在は米子消防署皆生出張所の副出張所長を務めています。
地震発生から9日目の1月9日から5日間、鳥取県の緊急消防援助隊第1次隊の一員として、能登半島北部の主要都市・輪島市に派遣され、土砂災害や大規模火災の現場で行方不明者の捜索にあたりました。
嶋村采音アナウンサー:
「この中で実際に使った機材は?」
鳥取県西部消防局・恵美平さん:
「それが少ないんです」
嶋村采音アナウンサー:
「全て大型車両がいいという訳ではないんですね」
鳥取県西部消防局・恵美平さん:
「そういったところを今回考えさせられる災害でした」
米子市を出発した翌日、拠点の金沢市から輪島市へ向かいましたが、地震の影響で道路が寸断、最初の活動現場に到着するまでに通常の4倍、約9時間を要したと言います。
鳥取県西部消防局・恵美平さん:
「東日本大震災、西日本豪雨、熊本地震の現場に派遣されたが、こんなに時間がかかったのは初めてだった」
近年の大規模災害でも被災地に派遣された経験を持つベテランにとっても、現地の被災状況は想像を絶するものだったといいます。
鳥取県西部消防局・恵美平さん:
「能登半島は迂回路が少ないところだった。こういうところが被災した時にいかに現場に付けるか防災機関として考えていかないといけない」
恵美さんが捜索活動を行ったのは、地震直後に発生した大規模火災で約300棟が焼けた輪島市の朝市通り。
戦場のような光景に言葉を失ったといいます。
鳥取県西部消防局・恵美平さん:
「広大な面積が燃えていますので、グーグルマップを見ながら焼け残っている建物を見ながら、その家の場所を確定して、そのあたりを重点的に検索活動を行いました」
また、大規模な土砂災害が発生し、複数の住宅が巻き込まれた輪島市市ノ瀬町の現場でも行方不明者の捜索にあたりました。
鳥取県西部消防局・恵美平さん:
「電柱や電線、大きな岩固い粘土質の土が多くあり、思うように土砂の排出が出来ず活動に時間を要しました」
被災地での捜索活動を通じて、恵美さんは、迅速な避難行動、そして、救助につながるある備えの重要性を再認識したそうです。
鳥取県西部消防局・恵美平さん:
「すぐに現地に入れるわけではないので、まずはお住まいのハザードマップを確認して下さい」
地震による土砂災害や津波などの被害の多くがハザードマップの危険個所で発生。
日ごろから、ハザードマップを確認して、身近な地域の危険個所を知っておくことが大切だといいます。
さらに…。
鳥取県西部消防局・恵美平さん:
「倒壊家屋の捜索などで、ここの家の人は避難所にいるといった近所の人の情報が消防にとって役立った。地域のつながりは持っておくことは大切です」
日常的な「近所づきあい」、地域のつながりも迅速な救助、より多くの命を救うことにつながると指摘しました。
そして若い世代にも…。
鳥取県西部消防局・恵美平さん:
「SNSが普及している世代なので、実際生の映像を見ることができる。こういった災害が起きた時にどうすればいいのかを感じていくことが出来るのではないかと思う」
SNSなどで得た情報も、いざという時の行動をシミュレーションするのに役立ちます。
いつ襲ってくるかわからない災害。
山陰と共通点の多い環境の北陸で起きた今回の震災から私たちはより多くの教訓を学ぶ必要があります。