歴史的な快挙となった大相撲。
24日の千秋楽を迎えた春場所で、鳥取城北高校出身の尊富士が、新入幕として110年ぶりとなる優勝を飾りました。
母校から、恩師や後輩が大声援でエールを送り、偉業達成を後押ししました。

尊富士の千秋楽の相手は豪ノ山。
押し倒しで下し、110年ぶりの新入幕優勝を果たしました。

尊富士:
「ここで負けたら皆さんが15日間、大阪場所に足を運んだ意味がないと思ったので、しっかり考えて土俵に上がりました」

史上最速となる初場所から10場所目で幕内優勝。
偉業達成の裏には、先輩の活躍を願う後輩たちの姿がありました。
23日土曜日の取組14日目。
尊富士の母校・鳥取城北高校の相撲部の合宿所では、後輩たちが固唾を飲んで取り組みを見守ります。
この日も勝てば優勝でしたが。

見守る後輩たち:
「あーーーー」

尊富士は敗れ、優勝決定は千秋楽に持ち越し。
この取り組みで右足首を痛めた尊富士を、後輩たちも心配そうに見つめました。
尊富士と同郷の青森県出身の部員は。

青森県出身の部員 三橋条ノ真さん:
「(けがは)大丈夫だと信じてます。明日は頑張ってほしいです」

高校時代、ケガに泣かされてきた尊富士。
恩師の井上監督はその経験が生きるはず、と信じていました。

鳥取城北高校相撲部 井上俊男監督:
「(高校時代も)自分が痛めた部分が使えないのであれば、どこならトレーニングできるかとか、少し治ってきたら基本のしこ・すり足などを黙々とやっていた。(ここまでの結果は)彼が頑張った稽古の証だと思う。彼の持ち味が、千秋楽で発揮できたらそれでいいかなと思います」

そして迎えた千秋楽、ケガの影響で出場も危ぶまれましたが、痛みもあるであろう中、土俵に上がりました。
この日も、恩師と後輩たちが見守る中、勝負のとき。

千秋楽を見守る鳥取城北の部員たち:
「いける、いける、うおー、えぐい、えぐい」

青森県出身の部員 三橋条ノ真さん:
「ケガしているなかでも優勝する根性があって、すごいなと思いました。憧れの存在です」

鳥取城北高校 相撲部キャプテン 藤村隆三郎さん:
「鳥取城北高校の先輩も頑張っているので、自分たちももっと頑張らないとという気持ちになりました」

鳥取城北高校 相撲部 井上俊男監督:
「思い切った相撲を最後の最後まで取り切っていたので、その部分で後輩たちにとっても、いい刺激になったでしょうし、本当によく頑張りましたと、言ってあげたい」

13勝2敗、文句なしの成績で殊勲賞、敢闘賞、技能賞の三賞を総なめ。
偉業達成直後の優勝インタビューでは、応援する人々への思いを語りました。

尊富士:
「昨日けがをして、その中でもたくさんの人から連絡がきたときに、不安なのは自分じゃなくて皆さんの方だと思ったので、絶対に土俵に上がって、勝っても負けても自分を信じて、土俵に上がりました」

まだ大銀杏を結えない、ちょんまげ頭の24歳の新星。
さらなる活躍に期待が高まります。