病気や災害などで親を亡くした子どもたちの教育費を支援する「あしなが奨学金」の申請が急増し、全国では1800人と過去最多にのぼりました。一方で、申請者の急増に奨学資金が追いつかず、給付対象に採用されたのは、申請者の半数以下の815人にとどまりました。このままだと給付の採用数をさらに減らさざるをえない状況で、関係者は街頭活動を本格化させ、寄付を呼びかけることにしています。

奨学資金への寄付を呼びかけている「あしなが学生募金事務局」によりますと、2024年4月に高校入学の生徒が対象の申請件数は、これまで過去最多だった2008年の1515人を上回る1800人にのぼりました。

申請者の急増に奨学資金が追いつかず、給付の採用者は815人と、採用率は過去最低の45.3パーセントでした。

このうち富山県では2023年は申請者6人に対し給付の採用者はなし。2024年は12人と倍増し、採用者は8人にとどまりました。

申請者が急増した背景には、これまで貸与型と給付型の2種類であったものが2023年から給付型のみに移行したことと、物価の高騰や新型コロナの影響で家庭の収入が減ったためではないかとみられています。

街頭活動で奨学資金への支援呼びかけへ

あしなが育英会によりますと、月額3万円を給付する高校奨学金は、家計などの書類選考で採用が決まりますが、保護者が死亡していなくても、障害者手帳5級以上などのケースで給付採用の対象となります。

申請者の急増に対応するため「あしなが学生募金事務局」は、4月20日から全国各地で街頭活動を行い、支援を呼びかける予定です。

あしなが学生募金事務局のスタッフ(先月 金沢市内)

奨学金を活用して学ぶ北陸大学3年であしなが学生募金事務局 北陸エリアマネージャーの川内智大さんは「子どもたちにはお金がないからという理由で夢をあきらめないでほしくない。募金活動を通じてみんなに夢へのきっかけを届けたい」と話し、奨学資金への支援、寄付を呼びかけています。

富山県内では4月21日(日)と28日(日)の午後0時から午後5時まで、富山駅南口で遺児の現状を訴え、奨学資金への支援を呼びかけることにしています。