それは、SNSに届いたメッセージがきっかけだった。

今年3月下旬、山形県寒河江市に住む20代の男性にSNSでメッセージが届いた。

アカウント名は「Hina Amaya」。女性を名乗っていた。

男性は「Hina Amaya」とやりとりをするようになる。やがて、メッセージを送り合いやすくするためか、別のSNSに誘導されやりとりを続ける。

ここから、話が動き出す。



「Hina Amaya」は軍人だという。しかも、ジブチ共和国の。

異国の話だが、男性には本当のことに思えた。そしてもっと知りたくなったのだろう。

その時だった。男性に「Hina Amaya」から一つのお願いが。

―金庫を預かってほしい―

金庫には貴重品や現金が入っていて、男性に預かってほしいという。

男性は預かることにした。

すると「Hina Amaya」は「パーカーブラウン」という人物を紹介してきた。

外交官だという。

男性はこの「パーカーブラウン」とメールでやり取りをするようになった。

男性はそのままやり取りを続けてしまっていた。

「パーカーブラウン」は、言う。

金庫を受け取るには、配送料のほか、税関許可証の発行手数料が必要だ、と。

お金の話だ。しかし男性はさらにやり取りを続けてしまう。

結果、男性は4月20日から4月24日までの間に、3回にわたり、指定された口座に現金およそ138万円を送金した。

しかし、金庫は届かない…。

なぜ…? すると「パーカーブラウン」は、さらに現金が必要だと言ってきた。

またお金の話だ。

不審に思った男性は、警察に相談する。

そう、詐欺だったのだ。

警察によると、これこそが「SNS型ロマンス詐欺」の手口。

SNSなどを通じて対面することなく、交信を重ねるなどして関係を深めて信用させ、指定した預貯金口座への振込などをさせ、金銭をだまし取るものだ。

警察では、SNSやマッチングアプリなどで知り合った人物から金の要求をされた場合には、詐欺の可能性があるとして十分注意するよう呼びかけている。