来月から始まる『定額減税』。去年10月、防衛増税などめぐり、“増税メガネ”と揶揄された岸田総理が、物価高対策として打ち出したものです。

来月から減税されるのは、1人あたり年間で所得税が3万円、住民税が1万円です。

毎月のお給料は、どうなるのでしょうか。
まずは『所得税』。6月分から減税されて、減税額を使い切るまで、7月、8月…と繰り越されて減税されます。続いて『住民税』。住民税の年間の総額から減税分を差し引いた額を7月から来年5月まで均等割りして納める形です。異例なのが、6月だけは住民税を徴収しません。つまり、6月の住民税は一律0円なのです。

岸田総理(去年11月):「ボーナス月である6月であれば、賃上げと定額減税、双方の効果を給与明細において、目に見える形で実感できる」

減税を実感させるため、政府がこだわったのが“給与明細”の表記です。6月の住民税は『0円』書かれ、所得税についても、いくら減税されたのか『減税分の金額』を表記することを義務づけました。

目黒税務署が開いた説明会。給与明細にどう書くか、定額減税額という項目を設け、いくら減税されているのか明記するよう伝えられました。
税務署職員:「通常とは違う形で多大なる負担がかかるということになります」

参加した企業の担当者の声です。
自営業社長:「めんどくさいですね。最初に思ったのが、どうして給付にしないのかなと。(Q.今後、必要な作業は)確認することですね、扶養家族の状況を。それを確認しないと、全然、始まらないですから」
菓子製造業・総務部:「給与システムも改造しなければならないですし、年末調整の方も、また、いろいろやらないといけないのかな」と
ビル清掃業・総務部:「(6月)10日くらいまでには、やらないといけないので、総務スタッフ4人いるが、いまから会社戻って会議ですね」

税金のプロ、税理士はこう話します。
税理士・山田典正さん:「今年限定の制度、来年以降基本的にないわけです。そのためにわざわざ仕様変更したりとか、システム変えたりとか、企業は社内で案内したりとか。給与の部分って何かミスがあったときに従業員の手取りとかに影響が出るので、神経を使う。企業サイドとしても、頭を悩ませる部分もあるかと」

企業に事務負担を強いても、政府は肌で感じてほしいそうです。
新藤義孝経済再生担当大臣:「減税を通じて、可処分所得が上がっていると実感していただきたい。さらに、自らの肌で感じてもらうためにも、給与明細等にわかりやすくしてほしいというのは、自然の結果としてやらせていただく」

◆改めて、定額減税の仕組みを見ていきます。

定額減税は、来月から実施されます。
1人あたり年間で、所得税は3万円、住民税は1万円の計4万円が減税されます。年収2000万円以下の人が対象で、減税額は、納税者本人と扶養家族の人数に応じて決まります。

来月以降、会社員など、給与所得者の給与明細が大きく変わります。
税理士に作成してもらった明細書のサンプルです。定額減税により、所得税は0円、住民税も0円になっています。所得税については、“減税額の明記”が義務付けられましたので、減税額が記載されることになります。

7月以降もこうなるというわけでありません。
所得税は、年間の減税額に達したら、そこで減税は終わります。住民税は、通常、12カ月に分けて、天引きされます。今回は、6月分は徴収せずに、減税分を引いた額を11カ月に分けて天引きされます。

最終的には、1人あたり4万円の減税というのは変わらないわけで、減税の効果を見せることにこだわったということでしょうか。
その点について、岸田総理は20日の党役員会で「減税の恩恵を国民に実感いただくことが重要。給与明細で明記されるようにするとともに集中的な広報などで発信を強めていく」と述べています。