半世紀ぶりの有人月面着陸などを目指す「アルテミス計画」で、日本人宇宙飛行士2人に月面着陸の機会が与えられることが正式に決まりました。

■日本人2人が月面着陸へ

 訪米中の盛山文科大臣とネルソンNASA長官が「月面探査に関する実施取決め」にそれぞれ署名し、日米間で合意されました。

 日本人1人目の月面着陸は4号機ロケット打ち上げ予定の2028年ごろのタイミングで、「アルテミス計画」におけるアメリカ人以外では初を目指します。

 2人目については日本が技術提供する有人の月面探査車「与圧ローバ」が月面に到着する2031年ごろなどが見込まれていて、探査車を初めて操縦するのは日本人宇宙飛行士となる予定です。

■「与圧ローバ」に搭乗月面で1カ月生活

 JAXA(宇宙航空研究開発機構)とトヨタなどが開発中の「与圧ローバ」に2人が搭乗し、1カ月の間、月面で生活することを想定しています。

 「与圧ローバ」には再生型燃料電池が搭載され、太陽光で効率的に水素を生成するなどし、長期的・安定的な月面探査を目指しています。

 激しい温度差や未知な地面を走行するための性能など月面環境への適合が課題です。

 安全性に加え、クルーが閉鎖空間で快適に過ごすための環境整備も求められます。

■2025年に月周回の試験飛行 2026年に月面へ

 「アルテミス計画」はアメリカが主導の国際プロジェクトで、「アポロ計画」とは異なり、再び月に人類を送り込んで月面で持続的に開発を行い、将来的には火星の有人探査を目指しています。

 2022年12月には、第1段階として無人で打ち上げられた宇宙船が月を周回する試験飛行を終えて無事に帰還しています。

 2025年9月には、次の段階として宇宙飛行士を乗せて月を周回する試験飛行を行い、2026年9月に宇宙飛行士2人が半世紀ぶりに月面に降り立つ予定です。

■火星探査の中継基地「ゲートウェイ」で活動も

 また、月面探査や将来の火星探査のための中継基地とし、新たな宇宙ステーション「ゲートウェイ」も建設する計画になっています。

 「ゲートウェイ」での活動には、日本人宇宙飛行士が1人参加することがすでに決まっています。

 月面着陸を含め、どの日本人宇宙飛行士が参加するかは未定で、今後、NASA(米航空宇宙局)とJAXAの間での協議などを経て選定される見通しです。

 日本人初の月面着陸は日本における宇宙探査の大きな転換点となります。