フランスで受刑者を移送していた車が武装グループから襲撃される瞬間です。麻薬密売組織トップの男が脱走しています。

■フランス 移送車“襲撃の瞬間”

 フランスで信じられない事件が起きました。

 燃え上がる車。監視カメラは、その一部始終を捉えていました。受刑者を移送する白いバンが料金所を通ります。次の瞬間でした…。

 正面から護送車に黒い車が。後ろからは白い車が衝突します。車から飛び出した黒ずくめの集団。銃を構え、護送車を取り囲みます。

 前方の座席ににじり寄ると、車内に向かって銃を突き付けています。銃撃したのでしょうか、車から白い煙が上がります。

 画面右手の運転席から刑務官が外に引きずり出されています。武装グループは後部座席のドアを開け、移送中だった受刑者を連れ出します。

 そして、乗ってきた黒い車に爆発物を投げ込んだのでしょうか、炎が上がって辺りは煙に包まれました。真横を通るバスの車内。黒い車から炎が見えます。

 窓の外は白くかすんでいます。

 襲撃事件が起きたのはフランス北西部のウール県。14日午前11時ごろのことです。武装グループは料金所に移送車が来るのを道路脇で待ち伏せしていたといいます。

司法相
「彼らは逃げるために銃で刑務官への発砲をためらわなかった。男性2人が死亡した」

 フランスの検察などによりますと、実行したのは4人組で、散弾銃で刑務官2人を射殺。別の刑務官3人も重傷を負ったそうです。

■“逃走”麻薬組織トップ 人物像は

 武装集団が奪い返したかったのがモハメド・アムラ受刑者(30)です。一体、どんな人物なのでしょうか。

 アムラ受刑者は年齢は30歳ですが、数多くの犯罪歴があります。

 今回、実刑判決を受けた強盗罪だけでなく、過去には拳銃による恐喝未遂や暗殺未遂、さらには組織的な殺人や誘拐などに関わってきた麻薬密売組織のトップとされています。

 「煩わしい存在」ということでしょうか。フランス語でハエを意味する「ラ・ムーシュ」と地元メディアは読んでいます。

司法相
「彼らは命をないがしろにしている。逮捕され、公正な裁判のもと処罰を受けるべきだ」

■マクロン大統領「絶対に見つける」

 海外メディアは殺害された2人の刑務官について、1人は妻と2日後に21歳の誕生日を迎える2人の子どもが。もう1人の刑務官には妊娠5カ月の妻がいたと伝えています。

ガブリエル・アタル首相
「我々の悲しみはフランス全体の悲しみです。この残酷極まりない犯人に衝撃を受けました」

 マクロン大統領もSNSで犠牲者と遺族に哀悼の意を伝えました。

マクロン大統領
「フランスの名において正義を執行するため、あらゆる手段を使い絶対に犯人を見つけます」

 フランス当局は数百人態勢で襲撃犯とアムラ受刑者の行方を追っています。