“天国に一番近い島”と呼ばれる、南太平洋のフランス領ニューカレドニアで大規模な暴動が続いています。これまでに5人が死亡、200人以上の身柄が拘束されました。非常事態宣言が出され、フランスから治安部隊も出動する事態となっています。

■フランスの憲法改正が引き金に

1853年にフランス領になった、ニューカレドニア。ニッケル産業の地としても知られ、フランスにとっては太平洋への玄関口です。そんな場所がここまでの事態になる理由は、人口の約4割占める先住民カナックです。

本国フランスの議会で15日、フランス系住民の投票権を拡大する内容の憲法改正案が圧倒的多数で可決されました。これまで何度か、ニューカレドニアの独立を問う住民投票が実施されてきましたが、結果はすべて否決。カナックの独立を願う勢力にとって、その願いは遠のくばかりです。

当初は平和的なデモも多かったのですが、一部の強硬な独立派に先導され、若者を中心に暴徒化していきました。

女性
「フランス政府に声を聞いてほしい。法改正に絶対反対です」
「抑圧を感じて怒りを覚えます。フランスで何でも決めてしまって、カナックの声が届いているのか疑問です」

■在住日本人「自警団で防衛」

美しい街並みは一変しました。地元の生活を支えるスーパーも荒らされ、食料・物資の不足は深刻です。本国フランス政府は、続々と治安部隊の派遣を決めています。

30年以上にわたって現地で生活する、高橋リサさん。今は中心都市ヌメアでお土産店を経営しています。

土産店『AQUA』高橋リサさん
「水曜、目覚めたら、家の中まで火事のにおいが漂っていて」

高橋さんの住むアンスバタ地区は落ち着いているということですが…。

土産店『AQUA』高橋リサさん
「きのうも“次はアンスバタに行くぞ”“待ってろ”なんていう脅しの言葉がSNSにあるとみんな反応して。各地区ごとに自警団を作っていて、今も主人が隣人たちと入り口にバリケード作って。コロナ前から比べると日本からのお客様は全く戻っていない。本当に観光業としてはつらい部分ではあります」