”袴田事件”で集会 再審認めた元裁判長「速やかに無罪判決を」・静岡
いわゆる「袴田事件」の再審=裁判のやり直しに向けて、5月19日、市民団体が集会を開き、2014年に静岡地裁で袴田巌さんの再審を認めた元裁判長が、当時の決定に込めた思いを語った。

いわゆる「袴田事件」の再審=裁判のやり直しに向けて、5月19日、市民団体が集会を開き、2014年に静岡地裁で袴田巌さんの再審を認めた元裁判長が、当時の決定に込めた思いを語った。

19日、東京・千代田区の参議院議員会館で行われた集会には、袴田巌さんや姉・ひで子さんをはじめ、支援者ら約100人が集まった。

(袴田巌さん)

「東京に来て2日目だが、戦いがある」

1966年に旧清水市で一家4人が殺害された、いわゆる「袴田事件」では、袴田巌さんの死刑が確定していたが、2023年3月、東京高裁が裁判のやり直しを認め、再審公判が開かれることが決まった。

集会では、2014年に静岡地裁で袴田さんの裁判のやり直しと釈放を認める決定を出した元裁判長の村山浩昭弁護士が登壇し、当時の思いを語った。

(村山浩昭弁護士)

「なぜ今まで有罪だったのか、それは5点の衣類があったから」「5点の衣類は、決定にも書いたように、捜査機関のねつ造の疑いが極めて濃い、そういうことがあっていいのか」「決定には若干感情的な表現を使っているが、後で批判を受けても、私たちとしては釈放するしかないという結論になった」

その後、検察側が即時抗告したことについて、村山弁護士は。

(村山浩昭弁護士)

「まず驚いた、袴田さん、ひで子さんに申し訳ないと」「ここで敗れると、また無罪になる日が遠くなる、どうして付け入る隙のないような決定が書けなかったのか」

静岡地裁の決定から9年後の2023年3月に東京高裁が出した、再審=裁判のやり直しの決定については評価した。

一方、袴田巌さんの再審をめぐっては、すでに40年以上の年月がかかっていて、巌さんが87歳と高齢であることから「速やかに無罪判決を出すべき」と訴えた。

村山弁護士は、日本の再審に関する制度は70年以上、一度も改正されておらず、袴田さんの審理の長期化にもつながっていると指摘した。

村山弁護士と袴田さんが顔を合わせるのは19日が初めて。姉・ひで子さんは喜びを語った。

(姉 袴田ひで子さん)

「村山さんとは10年ぐらい、裁判のときに会い、以後初めて会った」「巌を助けていただいたことにお礼を申し上げて、村山さんも汗をかきながら一生懸命伝えてくれた」「ありがとうだけではなく、命の恩人だと申し上げた」

この集会の後、弁護団は5月29日に静岡地裁で行われる検察と裁判官との三者協議に向けて会議を開いた。