明治安田J1リーグ第3節のセレッソ大阪vs東京ヴェルディが9日にヨドコウ桜スタジアムで行われ、ホームのC大阪が2-1で勝利した。

開幕2試合でいずれもリードを守り切れずに2戦未勝利と、近しい状況で3戦目を迎えた両者が今シーズン初白星を目指して激突した一戦。

C大阪は前節、鹿島アントラーズとのアウェイゲームを終盤の失点によって1-1のドローに終わり、開幕戦のFC東京戦に続く2試合連続ドロー。攻守両面で手応えを感じながらも、勝ち点3が遠いもどかしい最序盤戦だ。昇格組相手に初白星を狙ったホームゲームでは前節から先発3人を変更。ルーカス・フェルナンデスとカピシャーバがベンチを外れてレオ・セアラもベンチスタート。代わってジョルディ・クルークス、上門知樹、為田大貴が3トップに入った。

一方、東京Vは前節の浦和レッズ戦を持ち味の組織的な守備で後半終盤までリードしながらも、2試合連続同じ時間帯で与えたPKによる失点で1-1のドロー。逆転負けとなった横浜F・マリノスとの開幕戦に続き勝ち点3獲得でもおかしくない内容で白星を逃した。その2試合を教訓に16年ぶりのJ1での勝利を目指す緑の名門は前節から先発1人を変更。山越康平に代わって負傷明けの稲見哲行が起用された。

立ち上がりからアグレッシブにハイプレスを仕掛けたアウェイの東京Vがペースを握っていく。ただ、サイドの深い位置は取れるが、そこからの崩しが停滞。効果的にフィニッシュまで持ち込めない。

一方、C大阪は相手の圧力に手を焼いてボールの前進に苦戦。自陣での細かいミスやセカンドの拾い合いで劣勢に。それでも、14分にボックス左でルーズボールを制した為田が右ポストのわずか外に外れるコントロールシュートで最初の決定機を創出。以降は回数こそ多くはないものの、毎熊晟矢の右クロスに上門、為田の左クロスに奥埜博亮とボックス内で際どいダイレクトシュートを放っていく。

前半半ばから終盤にかけてはスリッピーなピッチの影響で、互いに細かいミスが目立つ。ただ、前からの圧力を強めて中盤のボール回収率を高めたホームチームが徐々にライン間の選手を使いつつ、相手を広げて良い形を作り出す。

すると42分、自陣での繋ぎから長いボールを奥埜が頭で競り勝って右サイドのクルークスに繋ぐ。クルークスは利き足の左を意識させながら細かい切り返しで縦に仕掛けてボックス右ライン際から柔らかなクロスを供給。これを中央からファーに流れてフリーになった香川がピッチに叩きつけるヘディングで流し込んだ。

香川の今季初ゴールによってC大阪の1点リードで折り返した試合は、後半も同じメンバーでスタート。キックオフから数分は先制したホームチームが押し込む時間が続いたが、これを撥ね返したアウェイチームが徐々に押し返していく。

前半は染野唯月のエリア外からのシュート2本にとどまった東京Vだったが、後半最初のチャンスを見事にゴールに繋げる。54分、後方からの繋ぎでうまくずれを作ると、中盤の見木友哉が背後へ浮き球で入れたパスに2トップが反応。染野がGKキム・ジンヒョンの寸前で放った浮き球シュートははじかれるが、こぼれ球に詰めた木村勇大が無人のゴールへ流し込んだ。当初オフサイドの判定だったが、数分間のVARの確認の末に判定が覆って木村の2試合連続ゴールが認められた。

これで俄然追いついた東京Vに勢いが出てきたが、思わぬアクシデントが発生。65分、コーナーキックのクロスを直接キャッチしてカウンターを試みたGKキム・ジンヒョンのパントキックを至近距離でブロックした稲見に2枚目のイエローカードが掲示され、アウェイチームに退場者が出た。
追いつかれたものの、数的優位を手にしたC大阪はこの直後に2枚替えを敢行。奥埜と上門を下げてレオ・セアラとヴィトール・ブエノを同時投入。これに対して、守勢の東京Vは齋藤功佑、山田楓喜の両サイドを下げて山越を右サイドバック、翁長聖を左サイドハーフ。染野を右サイドハーフに移した。

ここから試合はホームチームがリスクを冒して前に出て引いた相手の守備をこじ開けにかかる。だが、数的不利を感じさせない集中した守備で撥ね返す東京Vは76分、人数をかけた攻撃からボックス中央でルーズボールを収めた木村が右足ボレーシュートでGKキム・ジンヒョンにファインセーブを強いるなど攻撃への意識を失わず。さらに、86分には見木の高精度のFKを林尚輝がドンピシャのヘディングで合わすが、これはGKの守備範囲となった。

結局、試合は拮抗した状況のまま最終盤に突入。10人相手に勝ち点1では許されないC大阪が猛攻を仕掛けると、土壇場で試合が動く。90分、右CKの流れからこぼれ球に反応したレオ・セアラがDF山越から強引にボール奪取。切り返してシュートを試みたところでDF林と交錯すると、主審はPKを与える。東京V陣営はレオ・セアラがボールを奪った際のプッシングのファウルをアピールも判定は変わらず。これをキッカーのレオ・セアラがゴール左隅に蹴り込み、勝ち越しに成功した。

その後、8分のアディショナルタイムは10人の東京Vが決死の猛攻でゴールに迫ったが、最後まで身体を張って撥ね返し続けたC大阪が逃げ切った。この結果、3戦連続で追いつかれながらも劇的な形で勝利したC大阪が今季初勝利を挙げた。一方、微妙な判定もあって3試合連続の後半終盤のPK被弾となった東京Vは厳しい今季2敗目となった。

セレッソ大阪 2-1 東京ヴェルディ
【C大阪】
香川真司(前42)
レオ・セアラ(後45+3)
【東京V】
木村勇大(後9)