プレミアリーグ第31節、チェルシーvsマンチェスター・ユナイテッドが4日にスタンフォード・ブリッジで行われ、ホームのチェルシーが4-3で勝利した。

11位のチェルシー(勝ち点40)は前節、ホームで降格圏に沈む19位のバーンリーと対戦。前半に退場者を出した相手に2度追いつかれる失態を演じ、2-2のドローで試合を終えた。12戦未勝利と苦手とする難敵相手にバウンスバックを図ったビッグマッチではそのバーンリー戦と全く同じスタメンで臨んだ。

一方、6位のユナイテッド(勝ち点48)は前節、ブレントフォードと敵地で対戦。低調なパフォーマンスに終始した中、痛恨の1-1のドローに終わって厳しい状況でチェルシー、リバプールとのタフな対ビッグ6連戦に臨むことになった。テン・ハグ監督はこの一戦に向けて先発3人を変更。負傷のリンデロフに代わってマグワイア、マクトミネイとラッシュフォードに代えてカゼミロ、アントニーを起用した。

シーズン終盤に入っても苦境が続く青と赤の名門対決。互いにアグレッシブな入りを見せると、開始早々にスコアが動く。

4分、中盤でのボール奪取からエンソ・フェルナンデスの右足アウトにかけたスルーパスに反応したグストが右サイド深くに抜け出してマイナスのクロスを供給。これがDFヴァランに当たってコースが変わりボックス中央に流れると、良いポジションを取っていたギャラガーが右足ダイレクトシュートをゴール右隅に流し込んだ。

いきなり動いた試合は以降も落ち着くことなく比較的オープンな展開が続いていく。ボール保持、シュートの数など互角の攻防が繰り広げられるが、切り替え、プレー精度で上回るホームチームが畳みかける2点目を奪い切る。

19分、アンダーラップでムドリクからボックス左でパスを受けたククレジャがアントニーと交錯。このプレーでPKを獲得すると、キッカーのパーマーがゴール右隅へ冷静に蹴り込んでリーグ3試合連続ゴールとした。

2点リードで余裕が出てきたホームチームは、よりリスクを冒して前に出るアウェイチームの反撃を受け止めながらパーマー、ジャクソンを起点としたカウンターを発動。ムドリクが幾度か良い形でフィニッシュに絡んでいく。

一方、ここまで低調とは言えないものの、敵地で難しい展開を強いられたユナイテッド。だが、これが12戦無敗の相性の良さなのか、ボトムハーフに沈む相手のひ弱さなのか、前半半ば過ぎからの反撃で一気に試合を振り出しに戻す。

まずは34分、右サイドのスペースに抜け出しかけたアントニーの大きくなったトラップはカイセドに奪われるが、内側のバディアシルへの軽率な横パスがずれたところをガルナチョがカット。そのままボックス内に持ち込むと、体勢を崩しながらも左足で右隅に流し込む。

続く39分にはチェルシーのCKの流れからGKオナナのスローからカウンターをスタート。右から左サイドに展開すると、ガルナチョのタメからボックス左角のダロトが入れた正確なクロスをファーに走り込んだブルーノ・フェルナンデスがヘディングで左隅に流し込んだ。

これで2-2のイーブンに戻った試合はハーフタイムにかけて拮抗した攻防に。前半アディショナルタイムにはパーマーのスルーパスに抜け出したギャラガーに決定機が訪れるが、ボックス右で放った右足シュートは惜しくも右ポストを叩いた。

45分間の中でも主導権が入れ替わる形となった激しい前半を経て試合は2-2で後半に突入。ユナイテッドは前半から筋肉系の問題を訴えていたヴァランを下げてエバンスをハーフタイム明けに投入した。

立ち上がりは2点差を追いついたアウェイチームがペースを掴むと、切り替えの勝負で上回って厚みのある攻撃を仕掛けていく。ただ、チェルシーも徐々に押し返していくと、エンソ・フェルナンデス、パーマーの際どいミドルシュートでGKオナナに2本のファインセーブを強いる。

後半序盤の攻防を経てユナイテッドにアクシデントが発生。後半頭から投入したエバンスが負傷によってプレー続行不可能となり、66分にホイルンドと共にベンチへ下げてカンブワラ、ラッシュフォードが同時投入された。

相次ぐセンターバックの負傷に嫌な流れが漂うアウェイチームだったが、この交代直後に逆転ゴールを奪う。

67分、ハーフウェイライン付近でバディアシルのボールコントロールのミスを突いてカウンターを発動。ラッシュフォードのスルーパスで右サイドのスペースに抜け出したアントニーが早いタイミングで左足アウトにかけた絶妙なクロスを供給すると、ボックス左に走り込んだガルナチョがGKペトロビッチに寄せられる寸前でバウンドしたボールをヘディングで押し込んだ。

再びミス絡みの形で失点を喫してついに逆転を許したチェルシーはベンチが慌ただしく動く。失点直後にカイセドとムドリクを下げてチュクエメカ、スターリングを、75分にはディザジとグストに代えてチャロバー、ギルクリストをピッチに送り込んだ。

後半終盤にかけて試合は膠着状態に。ボールを握って押し込むチェルシーだが、ブロックの前でボールを動かすにとどまってフィニッシュの数が増えていかない。一方、逃げ切りを図るユナイテッドは85分に殊勲のガルナチョを下げて古巣初対戦のマウントを投入。試合展開もあってホームサポーターはブーイングでの歓迎を見せた。

8分が加えられた後半アディショナルタイムもユナイテッドが冷静にゲームを進めていたが、チェルシーが最後の最後に劇的過ぎる逆転劇を演じて見せた。

まずは土壇場の97分、ボックス内で仕掛けたマドゥエケがバランスを崩したDFダロトに後ろから倒される形でPKを獲得。これをキッカーのパーマーが再び右隅に突き刺して100分に追いつく。

これで引き分けでの決着かに思われたが、勝ち点3へ執念を見せたホームチームは攻勢を継続すると、直後の101分には右CKのショートコーナーからボックス手前右でボールを受けたパーマーが豪快に左足を振り抜くと、ゴール前のマクトミネイにディフレクトしてコースが変わったシュートがゴール右隅に突き刺さった。

そして、試合はこのままタイムアップを迎え、パーマーの土壇場のハットトリックで壮絶なシーソーゲームを制したチェルシーが、苦手ユナイテッドにリーグ13戦ぶりの劇的勝利を収めた。