「ミニ・クーパー3ドア」がフルモデルチェンジ、4代目となる新型ミニが世界初公開されました。どこから見てもミニですが、最新の技術を搭載しながら「伝統と先進」をデザインしたといいます。なぜ新型ミニはミニらしく見えるのでしょうか。

新型ミニ・クーパーはなぜ誰が見ても「ミニ」に見える!?

 BMWグループのブランド、MINI(ミニ)は2023年9月1日、ドイツ・ミュンヘンで開催されていたIAAモビリティ2023で、第4世代となる新型「ミニ・クーパー3ドア」を世界初公開しました。

 ミニは、1959年にブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)が開発、およそ40年もの間モデルチェンジすることなく製造されていたクラシックMini(ミニ)を起源としています。

 そのモデルをモチーフとして、BMWが2001年に発表した初代ミニが誕生。今回登場した新型ミニ・クーパー3ドアはBMWミニとしては4代目となる新型モデルです。ただしBMWのリリースでは、クラシックミニを初代として「5代目」とされています。

 今回登場した新型「ミニ・クーパーE」と「ミニ・クーパーSE」は、いずれも内燃機関(エンジン)を持たない電気自動車(BEV)です。ミニ・ブランドは2030年までに完全電動ブランドになると宣言していますが、今回登場した新型ミニ3ドアはその流れに沿っているのが特徴的です。

 クラシック・ミニの登場は1959年。つまりミニ誕生から64年が経過しているのにもかかわらず、なぜ新型ミニは“ミニらしく”見えるのでしょうか。

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 まずは外観ですが、短いオーバーハング、短いボンネットに長いホイールベースという、クラシックなスタイルをベースに、「カリスマ・シンプリシティ」というデザインテーマに基づき、先進テクノロジーとブランドの起源の基本原則を組み合わせています。

 ヘッドライトはLED化されていますが、クラシック・ミニから続く丸目は健在です。またフロントグリルもクラシック・ミニからの伝統となる台形をイメージしています。ただしフロントグリルは、よく見ると従来型ミニの六角形から八角形に進化しているのがわかります。

 切り立ったAピラーで、フロントガラスは他のコンパクトカーと比べて直立しており、運転席に座るとミニ独自の視界を味わうことができます。これも初代から変わらない部分です。それにもかかわらず、新型ミニ・クーパー3ドアの空気抵抗係数(Cd値)は0.28と、コンパクトセグメントとしては傑出しているといいます。

 そう考えると、2001年に登場した初代ミニのデザインがいかに優れていたのかということを、改めて感じさせます。

インテリアも「ミニマリスト・デザイン」を継承

 インテリアで目を引くのが、ダッシュボード中央にある丸形のディスプレイです。

新型「ミニ・クーパー3ドア」のインテリア

 これは高解像度のOLEDディスプレイで、先代モデルの丸形メーターと同様、多彩な機能を備えたセンターアイコンがインテリアの特徴となっています。

 高品質なガラスエッジを採用した薄型タッチディスプレイの直径は240mm。その操作方法はスマートフォンと同じようにメニューからアクセスします。

 さまざまな機能を備えており、ナビゲーションやメディア、電話、エアコン設定などもここでタッチ操作が可能です。さらに「MINIオペレーションシステム9」という最新の機能を備えており、「ヘイ、ミニ!」と話せば音声操作でさまざまな機能をおこなうことができます。

 この丸形ディスプレイも、60年を超える歴史と伝統を引き継いでいるデザインのひとつです。

 アレック・イシゴニス卿がデザインした1959年登場のクラシック・ミニは、「ミニマリスト・デザイン」というコンセプトが有名ですが、そのデザインも新型に継承されています。

 中央の丸形メーターとトグルバーの組み合わせは、BMWミニとなってからも引き継がれました。2001年に登場した初代ミニは丸形メーターでしたが、その後、代を重ねるうちにインフォテイメントシステムのディスプレイになり、そして新型ミニ・クーパー3ドアではOLEDディスプレイへとさらなる進化をしています。

 また伝統のトグルスイッチも継承。ダッシュボードの下に配置された新設計のトグルバーは、運転にもっとも重要な機能 (パーキングブレーキ、ギアセレクター、スタート/ストップキー、エクスペリエンスモードトグル、音量コントロール)に直接アクセスできるもので、使い勝手を向上しています。

 ただ伝統を継承しているだけでなく、新たな取り組みもおこなっています。

 湾曲したダッシュボードには、初めてテキスタイルの表面が採用されています。暖かく快適な素材は、新型ミニ・クーパーのインテリアに新しく家庭的な心地よい雰囲気をもたらします。

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 ひと目でミニとわかるスタイリングとインテリア、そして運転席に座っただけでもわかるミニ独自の視界。ミニは今後、EV専業ブランドになっていく予定ですが、「ゴーカート・フィーリング」と呼ばれる走りを含め、新型ミニ・クーパー3ドアを見るとミニらしさは今後も引き継がれていくことがわかります。