ドイツ車を代表するコンパクトカーとしては、フォルクスワーゲン「ポロ」が代表的なモデルとして名前が上がりますが、初代ポロよりも先に登場したモデルが「アウディ50」です。どんなクルマだったのでしょうか。

VW初代「ポロ」発売よりも7か月前に欧州で登場

 独アウディAGは2024年4月4日、「アウディ50」が発売されて50周年を迎えると発表しました。

 アウディ50は1974年に登場した、アウディ初、さらにはドイツ車初となる小型車です。

 全長3490mmというサイズの2ドアハッチバック・コンパクトカーで、初代フォルクスワーゲン(VW)「ポロ」と兄弟車という関係になります。その初代ポロは1975年3月に欧州にて発売されましたが、アウディ50はその7か月前、1974年10月に先行発売されています。

 これは初代ポロ発売に向けて市場の反応を見るという意味合いもあったそうです。アウディ50は欧州市場でのみ販売されました。

 当時のラインナップには「アウディ80」「アウディ100」というモデルもありましたが、アウディ50はエントリーモデルという位置づけになっており、横置きエンジン/前輪駆動というパッケージのおかげで、室内は大人4人がラクに長距離移動できるほどの広さを誇っていました。

 搭載エンジンの排気量は1.1リッターで、50馬力の「アウディ50 LS」と、60馬力の「アウディ50 GL」の2グレードが発売されました。50LSの最高速度は142km/h、50GLは152km/hというパフォーマンスを誇ったといいます。ちなみに50LSはレギュラーガソリン仕様なのに対し、50GLはプレミアムガソリン仕様でした。

 当時のドイツでの車両価格は50LSが8195ドイツマルク、50GLが8510ドイツマルクだったといいます。

 アウディ50はウォルフスブルクにあるVW工場にて製造され、1975年3月31日までに4万3002台が出荷され、そのタイミングでVW初代ポロの生産も開始されました。

 アウディ50は1978年まで、18万838台が製造されました。販売されたのは数年だけでしたが、VWグループの小型車セグメントを確立した1台となり、歴史に名を刻んだモデルとなりました。

 その後アウディは、ミドルレンジおよびハイエンドのクルマの生産に注力。Bセグメント・コンパクトカーとしては1999年に登場した「A2」(日本未発売)、2010年(日本では2011年)に登場した「A1」まで待たねばなりませんでした。

 一方、アウディ50の7か月後、1975年に発売されたVWポロは、Bセグメント・コンパクトカーとして大ヒット、現在まで6世代が登場、累計2000万台を超える世界販売台数を誇るセグメントリーダーであり続けています。