テスラが納車を開始したてのEV「サイバートラック」がアメリカのオークションに出品され、落札されました。どのようなモデルだったのでしょうか。

堅牢で超速い電動ピックアップトラック

 テスラ「サイバートラック」は電気自動車(EV)のピックアップトラックです。

 発表されたのは2019年で、2021年発売と当初はアナウンスされていました。しかし開発が遅れたため、発表から4年後の2023年12月にようやく納車が開始となりました。

 日本での発売についてアナウンスはありませんが、実車の展示が東京を皮切りに全国で行われています。

 サイバートラックの大きな特徴は、まずそのボディ。バーチャルの中からそのまま出てきたのかと思うような直線的なデザインとなっています。

 そのボディは素材も一風変わっています。ステンレススチールを無塗装で使用しているのです。

 直線で角ばったデザインを無垢の金属で実体化しているため、世界に類を見ない独特なボディを実体化することに成功しています。

 さらに頑丈で、キズつきが軽減されるだけなくハンマーで叩いても凹みにくく設計されています。テスラは実験で、サブマシンガンの弾も貫通しなかったと公表しています。ちなみにガラスも防弾仕様です。ボディカラーは、塗装ではなくラッピングにて選択可能といいます。

 また、高い走行性能も特長のひとつです。

 サイバートラックには3つのグレードが用意されており、航続距離重視のRWD(後輪駆動)、走破性と航続距離のバランス型のAWD(ツインモーター4輪駆動)、高性能のサイバービースト(ツインモーター四輪駆動)と3つのグレードを用意します。

 価格は順に6万990ドル(日本円で約920万円)、7万9990ドル(約1200万円)、9万9990ドル(1500万円)と設定されています(日本での価格は未設定)。

 そのうち、サイバービーストと呼ばれる高性能モデルがずば抜けた性能を持っており、0-100km/h加速が2.7秒、牽引能力が約4990kgあります。馬力は非公表です。

 テスラが公式Youtubeにて、ポルシェ「911ターボ」とサイバートラックの加速勝負の動画を公開していますが、サイバートラックが見事勝利しています。しかもサイバートラックの方は、同じ911ターボを牽引したままでの勝利でした。

 モーターは、アクセルを踏んだ瞬間に最大の加速力が出せるので、大きく重いピックアップトラックが加速でスーパーカーに勝ってしまうような芸当が可能なのです。

初期に予約した人のみの限定車「ファンデーションシリーズ」の気になる落札価格は?

 今回オークションに出品されたサイバートラックは、「ファンデーションシリーズ」という限定車です。初期に予約した顧客のみに引き渡された個体とのこと。

米国オークションに出品されたテスラ新型「サイバートラック」のインテリア

 落札価格は14万5000ドル(約2200万円)で、サイバービーストよりも約700万円高いプライスとなりました。

 出品時点での走行距離は70マイル(約113km)以下とのことで、事実上の新車です。内外装にキズがない最高の状態だったと考えられます。

 外装の特徴は塗装無しのボディで、ホイールが特別になっています。通常はキャリパーが見えないフルカバーのホイールなのですが、出品車両はスポークタイプになっています。サイズは20インチ。

 走行性能は600馬力のAWDで、123kWのバッテリーを搭載。航続距離は340マイル(547km)とのこと。この性能値から中間グレードの「AWD」がベースだとみて間違いないでしょう。

 内装の特徴は「ヨークステアリング」が装備されている点です。通常の円形ではない長方形に近い形のハンドルです。内装およびシート色はオールブラックとなっています。これらはノーマル設定のもので間違いなさそうです。

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 今回のサイバートラックは、新車のほぼ倍の値段で落札されました。

 その要因は希少性にあるでしょう。限定車というのも理由にあげられますが、そもそもサイバートラック自体がまだまだ珍しいモデルなのです。

 一説には、サイバートラックの受注台数は世界で190万台を超えたといわれています。

 全ての顧客に行き渡るためには相当の時間がかかり、希少な状態はしばらく続くでしょう。