世界主要国で展開されているオークションサイト「Bring a Trailer」で、「Z32型フェアレディZ」が発見されました。いったいどのような個体なのでしょうか。

美しいスタイルと走る喜びを与えてくれる日産純血スポーツ「Z32型フェアレディZ」

 世界主要国で展開されているオークションサイト「Bring a Trailer」で、「Z32型フェアレディZ」が発見されました。

 いったいどのような個体なのでしょうか。

 日本国内はもとより、世界中で爆発的な人気を誇っているのが日産「フェアレディZ」です。

 初代モデルである「S30型」はロングノーズ、ショートデッキの砲弾型フォルムに2.4リッター直列6気筒のエンジンからは最高出力130㎰を発生し、数々のモータースポーツシーンで活躍しました。

 また、GTカーの割には価格が安価だったことから、とくに北米市場で人気を獲得し、1978年までの8年間で販売台数累計52万台以上を記録しました。

 この記録は世界で最も売れたスポーツカーのひとつとされ、いまだに記録は更新されていません。

 このような世界に多くのファンを獲得したフェアレディZは、熟成を重ねてGTカーとして磨きをかけます。

 そして1989年に誕生した4代目である「Z32型」からこれまでのロングノーズ、ショートデッキのスタイルを捨て、大幅に路線変更します。

 Z32型フェアレディZでは、運動性能に特化したショートオーバーハングとなり、スタイルもワイド&ロープロポーションを採用するなど新時代のスポーツカーに相応しい仕上がりとなりました。 

 さらにパワートレインも次世代のスポーツカーに相応しく、3リッターV型6気筒エンジンは自然吸気とツインターボの2本立てで、とくにターボエンジンはこれ以上望めない自主規制の280㎰(海外仕様は300㎰)まで高められました。

 シャーシも抜かりがなく、4輪マルチリンクサスペンションを採用しただけでなく、GT-Rにも採用された4輪操舵システム「スーパーハイキャス」を装備することで、コーナーの進入から旋回、立ち上がりまでの車両姿勢を徹底的に制御できるようになりました。

 また、ボンネットやブレーキキャリパーに軽量なアルミを採用することで、コントロール性能の向上や前後重量配分を最適化するなど純血スポーツカーの資質を高めます。

 このように別次元のクルマに生まれ変わったZ32型フェアレディZは、日本ではバブル絶頂期ということもあって幅広い層に受け入れられました。

ガラス製トップが脱着できるTバールーフ仕様の1992年式Z32

 そんなZ32型フェアレディZが、世界最大級のオークションサイト「Bring a Trailer」に出品されて注目を集めました。

 今回の個体は1992年式の「300ZX」ツインターボの北米輸出モデルで5速マニュアル車仕様となっています。

米国オークションに登場した1992年式日産Z32型「フェアレディZ」

 カラーはチェリーレッドパールで、走行距離は2万3000マイル(約3万7014km)がメーター読みで確認できます。

 また、今回のモデルはガラス製トップが脱着できるTバールーフ仕様で、ボディ剛性を落とさずにオープン走行が可能なモデルです。

 エクステリアはオリジナルのままの状態で、2022年に再塗装が行われていることもあって、30年以上前のクルマということを感じさせない状態になっています。

 オプションには、一体型フォグランプ、ヒーター付きでパワー調整可能なサイドミラー、パワー伸縮式アンテナ、リアウィンドウワイパー、リアスポイラー、クワッドエグゾーストアウトレットが装備されていました。

 アルミホイールは16インチ5スポークの工場出荷時のものが取り付けられていて、状態もほぼ当時のままといえます。

 インテリアもオリジナルの状態でチャコールレザーのシートは多少のしわや補修跡がありますが、年式を感じさせないコンディションです。

 オーディオはBOSEのサウンドシステムにCDデッキが搭載され、国産GTカーらしいクルーズコントロールも搭載されています。
 
 パワートレインは日本仕様同様にVG30DETTエンジンですが、自主規制が外れた出力は300psまで高められました。

 全体の状態は年式を感じさせない程度の良さで、内外装はもちろん、エンジンルームや下回りまで劣化を感じさせないコンディションとなっています。

 なおタイミングベルトのほか、その他ベルト類や点火プラグは2019年に、バッテリーは2023年に交換済みです。

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 今回のオークションでは2024年4月29日の締め切りで23件の入札があり、最終的には新車価格を大幅に上回る4万1500ドル(約638万円)で落札されました。

 程度の良さはもちろんですが、Z32型フェアレディZの、現在でも通用する美しいスタイルと電子制御に頼らない走行性能の高さが、価格を押し上げた要因かもしれません。