母親の死後、突然父親を介護することになったクロミツさん(@kuromitsu1510)が、自らの経験を描いたコミックエッセイ「令和介護録」。脳腫瘍の影響で日常生活がままならず、認知症まで抱えた父との生活に次第に追い詰められる中、周囲の人々や医療・介護のプロたちの力を借りて「自分らしい介護」のあり方を模索していくクロミツさんの姿には、多くの反響が寄せられた。本作について、クロミツさん本人に話を聞いた。



■「自分が体験したツラさを共有するだけでも、同じ境遇の人たちの心を少しでも軽くできるのでは」

「発達障害グレーゾーン」と「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の”特性”を合わせ持ちながら、同じ悩みを抱えている人たちにメッセージを送り続け、2023年には自身の体験をまとめたコミックエッセイ『灰低カタルシス グレーゾーンダイアリー』を発売したクロミツさん。

そんな中、本作では自身の介護体験を生々しく描いている。「介護」をテーマとしたことについて、クロミツさんは「最初から介護をテーマに描こうと思ったわけではなく、病で倒れた父を世話出来る人間が自分しかいなかった事がキッカケです。介護生活の初期は心身ともに壮絶でしたが、気持ちが落ち着いた時に介護のマンガを描き始めました」と告白。

漫画を読むだけでも、折り合いの悪かった父のワガママや暴言がクロミツさんに堪えたことは容易に想像できる。それだけに、「家族とのすれ違いや介護の大変さで悩んでいる人は多いと思います。自分がまさにそうでした。自分が体験したツラさを吐き出して悩みや苦しみを共有するだけでも、同じ境遇の人たちの心を多少なりとも“軽く”するんじゃないかなと思っています」と、本作に込めた思いを明かしてくれた。

本作はSNSを通じて公開され大きな反響が寄せられたそうで、「これまで描いた漫画は『いいね』が1つもつかない状況だったのですが、実体験の漫画を描き始めたことで読者に共感してもらえるようになりました。それまで“共感を意識”して描いたことがなかったので新鮮な体験でした」と、自分の作品が世間に届いた喜びを振り返った。



画像提供:クロミツ(@kuromitsu1510)