昔よりも「狭まった」普通免許で運転できる範囲! この先EVが普及すると「乗れない乗用車」が出てくる可能性も

この記事をまとめると

■普通運転免許は取得したタイミングによって乗れるクルマのサイズが異なる

■平成29年3月以降に免許を取得した者は総重量3.5t未満などとなっている

■EVは車両が重くなるので一部は普通免許では運転できなくなる可能性がある

いまの若者が取れる普通免許はどのサイズのクルマまで乗れるのか

 運転免許の制度は過去に何度も見直されてきている。とくに普通免許で運転できるクルマの条件が大きく変わったのがポイントだ。

 たとえば、平成19年6月以前に普通免許を取得したドライバーについては、その後の更新において「中型免許(8t限定)」という風になっているはずだ。

 この「8t」という数字は運転することのできる車両総重量を示すものだ。車両総重量というのは、車両重量+乗車定員の重さを合計したもので、乗員についてはひとり55kgで計算するようになっている。最大積載量が定められている商用車については、その分も合計して車両総重量を導き出すというのが基本ルールだ。

 そのため、8t限定といっても最大積載量が8t未満のトラックを運転できるという意味ではなく、もろもろ合わせて8t未満のトラックを運転してもよい資格という意味だ。

 そして、平成29年3月から現在の免許制度になっているが、その普通免許で運転できるクルマの条件は車両総重量でいえば3.5t未満となっている。乗車定員は10人以下、最大積載量は2t未満という制限も付く。

 では、車両総重量3.5t未満という現行・普通免許の条件で運転できる最大クラスのクルマとは、どのようなモデルだろうか。

 たとえば、トヨタ・ハイエースにはさまざまなボディバリエーションがあるが、もっとも大きいのは1ナンバーとなるスーパーロング・ワイドボディ・ハイルーフとなる。こちらのディーゼル車の場合、車両重量は2020kg。乗車定員が2名の場合は最大積載量1000kg、5人フル乗車した場合の最大積載量は850kgとなる。前述した乗員ひとり55kgという数字を当てはめて計算すると、車両総重量は3130kgもしくは3145kgとなる。

※画像はスーパーロング・ハイルーフ

 リミットまで300kg以上の余裕はあるが、普通免許で運転できるクルマの目安として、1ナンバーの商用バンと捉えておくと、意外に大きなクルマは運転できないとイメージしやすいかもしれない。

今後、新しく出るEVに簡単に乗れなくなる可能性もある!?

 気を付けたいのは大きめの電気自動車だ。とくに欧州プレミアムブランドの電気自動車は、バッテリーを多く積んでいるうえに、前後モーターの4WDとなっているため、車両重量がかさみやすい。

 一例を挙げると、メルセデスAMGの電気自動車EQS 53の車両重量は2670kgで乗車定員は5名となっている。計算すると車両総重量は2945kgとなる。普通免許の重量リミットに対して500kgほどの余裕はあるが、将来的にも問題が起きないかといえばそうとは限らない。

 クロスオーバーSUVのトレンドに合わせて、メルセデスが海外では発表済みのEQS SUVは7人乗りで車両重量は2800kgを超えるという。欧州仕様の車両総重量は3.4t弱ということだから、日本の普通免許でもギリギリ運転できそうなスペックだが、電気自動車がパフォーマンス重視で重くなっていく傾向を考えると、日本で大型EVに乗るには準中型免許が必要、といった事態になってしまう可能性もありそうだ。

 エンジン車であっても、ロールスロイスのSUV「カリナン」の車両重量は2750kg。乗車定員は5名となっているので、車両総重量を計算すると3025kgとなる。普通免許のリミットに対して余裕はあれど、このような巨体SUVについては、普通免許では運転できなくなる未来が待っているかもしれない。

 そのほか気を付けたいのはキャンピングカーだ。

 前述したハイエースや、キャンピングカーベースとして注目のフィアット・デュカトなどをベースに作られたキャンピングカーの多くは3.5t未満という条件のある普通免許での運転に問題はないだろう。

 ただし、2tトラックの荷台を改造したキャブコンと呼ばれるモデルでは車両総重量が3.5tを超えているケースもあり得るので、レンタルする場合や購入時には車検証でのチェックを忘れないようにしてほしい。