原付きのナンバーが自由すぎる! 全国の「変形オモシロ」ご当地ナンバーを探ってみた

この記事をまとめると

■2023年7月1日に新たな正方形のナンバープレートが登場

■原付きでみると日本全国には形も絵柄も珍しいご当地ナンバーがいくつか存在する

■とくにオモシロイものを選んで紹介する

自由なデザインで愛車がドレスアップできる!

 最近、「あれ? あんなナンバープレートあったかな?」と不思議に思ったことはありませんか? 実は2023年7月1日より、日本のナンバープレートに新たな種類が加わることになりました。それが、「特定小型原動機付自転車」専用となる、小さな正方形のナンバープレートです。

 この「特定小型原動機付自転車」とは、いわゆる電動キックボードの中で、車体の長さが190cm以下で、幅が60cm以下となるもの、かつ原動機の定格出力が0.60kW以下、最高速度が20km/h以下、最高速度表示灯などの必要装備が備えられているものが分類されます。16歳以上であれば運転免許が不要となり、ヘルメットの着用は自転車と同様の努力義務となることが特徴。

 電動キックボードのなかでも比較的小さなものとなるため、その車幅に収まるように専用ナンバープレートも10cm×10cmという、ハガキよりも小さな正方形となっています。そこに、交付した市区町村の名前とひらがな、4桁までの番号が表記されます。取得するには、市区町村の役所の窓口へ行き、申請書に記入・押印して提出する手続きが必要です。

 この正方形のナンバープレートは、これまで長方形に見慣れていた私たちからすると新鮮ですが、じつはあちこち探してみると、変形ナンバープレートといえるものがちらほら見つかるのです。

 なかなか斬新だなと感じるのが、石川県輪島市の伝統技能である「輪島塗」をイメージさせる、お椀のカタチをしたナンバープレート。原付バイクと小型特殊自動車用に用意されたもので、種類によって色が変わります。

 子ども受けが良さそうなのが、埼玉県加須市のこいのぼり型ナンバープレート。端午の節句に子どもの成長を願って飾る鯉のぼりは加須市で明治時代からつづく産業であり、大空一面に鯉のぼりが泳ぐイベントでは全長100mにもなるジャンボこいのぼりも有名です。ギョロッとした目がついていて、しっかり鯉のカタチに見えるナンバープレートは、夜間の安全にも寄与する反射式プレートとなっています。

ネズミにネコにお米まである!

 さらに、子どもだけでなく、歴史ファン、日本美術ファンからも羨望を集めそうなのが、岡山県総社市のねずみのシルエットをかたどったナンバープレート。これはただ可愛いというだけでなく、総社市に伝わる逸話「雪舟のねずみ」からとったものなのです。

 雪舟といえば、室町時代に活躍した水墨画家。その雪舟が幼い頃に禅の修行をしていたのが、今の総社市にある宝福寺でした。雪舟少年が禅の修行をちっともせず、好きな絵を描いてばかりいることに腹を立てた住職は、少年を柱に縛り付けて反省させようとしたそうです。しばらくして見にいくと、少年の足元に大きなネズミが動き回っているではないですか。これは大変と、住職が追い払おうとしたのですが、不思議なことにまったくネズミは消えない。それもそのはずで、そのネズミは少年がこぼした涙を足の親指につけて、床に描いたものだったそうです。住職はそれ以来、少年が絵を描くのを止めなかったということです。こんな逸話をもとにしたナンバープレートをつけて走れるというのは、とても光栄なことですね。

 そしてもう1つ、ネズミといえばネコ、ということでご紹介するのが、青森県三戸町が交付している、大人気絵本『11ぴきのねこ』のキャラクターがとってもかわいいナンバープレート。これは、ほのぼのとしてどこかユーモアのある画風と、独特の語り口で素晴らしい作品を残している絵本作家、馬場のぼるさんの人気シリーズで、ちょっとずるくて欲張りだけど、どこか間が抜けてて憎めない、とらねこ大将と10匹のねこたちの物語です。第1作が1967年に発行されて以来、50年以上にわたって愛されています。馬場さんが青森県三戸町の栄誉町民となったことにちなんで交付されています。

 このほかにも、波をかたどった今治市のナンバープレートや、宮城県登米市のお米の形など、たくさんあって楽しい変形ナンバープレート。これからも、欲しくなるような図柄や形が増えるといいですね。