信号のない交差点で鉢合わせ……ってドッチ優先か迷ってない? 左方からくる車両を妨害すると道交法違反になる!

 この記事をまとめると

◾️見落としがちな交通ルールとして、「左方優先」というものがある

◾️優先権の判断のつかない交差点においては左側のクルマを優先しなければならない

◾️左方優先を守らないと違反となるのはもちろん、円滑な交通社会実現のために正しく理解しておきたい

忘れられがちな交通ルール「左方優先」って?

 教習所で教わる交通ルールのなかに「左方優先」があります。この左方優先について、どのようなルールだったか覚えている方はどのくらいいるでしょうか? 今回は、道路における左方優先と事故の際の過失割合や違反について紹介します。

 そもそも「左方優先」とは、交差点における車両同士の優先関係のことです。根拠となる法律は、道路交通法第36条となります。

 道路交通法第36条には、交通整理が行われていない交差点における優先関係が定められています。法律の条文や教習所で配布している教本などによくでてくる「交通整理が行われていない交差点」は「信号がない交差点」に置き換えるとわかりやすいため、覚えておくとよいでしょう。

 道路交通法第36条の条文を要約すると次のようになります。

 【原則】
交通整理が行われていない交差点(信号がない交差点)では、交差する道路(交差道路)の左から進行してくる車両や路面電車を妨害してはならない

 【細かな規定】
・交通整理の行われていない交差点において、交差する道路が優先道路の場合は、優先道路を進行する車両の通行を妨げてはならない ※優先道路:優先道路の標識や中央線が引かれている道路など
・自車が進行している道路より交差する道路の幅が明らかに広い場合は、道幅が広い道路を走行する車両を妨害してはならない

 自車が進行している道路と交差する道路の道幅が同じ場合は原則に従うこととなります。つまり、自車の左側から来る車両の進行を妨害してはならないということになります。

もしも優先車を妨害してしまった場合はどうなる?

 優先車両を妨害した場合、「交差点優先車妨害」や「優先道路通行車妨害等」などの交通違反となります。

 違反点数と反則金は、交差点優先車妨害の場合が違反点数1点/反則金6000円(普通車)、優先道路通行車妨害等の場合は違反点数2点/反則金7000円(普通車)です。

 また、交通事故を起こしてしまった場合の過失割合は、60(左方のクルマを妨害した車両):40(左方を走行する車両)が基本となります。この過失割合は、あくまでも基本となる割合であるため、事故の状況によって変動します。

 交通整理が行われていない交差点(信号がない交差点)における優先関係は、運転するすべての人が正しく理解しておかなければなりません。ルールを正しく理解していないと優先判断を誤って重大事故に発展する可能性があります。交通事故を起こさないようにしたり、優先判断に迷ったりしないためにも、正しいルールを理解しておくことが重要だといえるでしょう。

 また、左方優先のルールは、自宅付近や住宅街・幹線道路から外れた裏通りなどで必要となる場合が多いです。信号がない交差点が多い住宅街や抜け道・裏道など、身近な場所で必要となる左方優先を正しく理解して事故を起こさないようにしましょう。