SAのほうが豪華でPAは簡素……ってワケじゃない! 高速のサービスエリアとパーキングエリアの違いとは?

この記事をまとめると

■高速道路の「SA」と「PA」の言葉の使いわけに違いがあるのか解説

■一般的にはトイレや駐車場のみのところが「PA」でそれ以上の設備もあるのが「SA」とされている

■土地ごとに特色のあるSAやPAに出かけてみるのもおすすめ

まるで観光地のように進化していた高速道路のSAとPA

 高速道路を使ったドライブの合間に休憩をする場所というだけでなく、いまやそれ自体が目的地となりうる、大人気のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)が増えています。その筆頭といえるのが、東京湾アクアラインの途中に浮かぶ巨大な艦艇のような、「海ほたるPA」。休日ともなれば、海ほたるPAに入りたいクルマで大行列ができ、東京湾アクアラインの渋滞の一因となってしまうほど。

 それもそのはず、この海ほたるPA最大の魅力は、360度を海に囲まれている立地による、他のSAやPAではなかなか体験できない絶景にあります。朝焼け、夕暮れ、夜景など時間帯によっても見える景色が変わり、晴れた日には遠くに富士山が望めたりするので、何度行っても飽きないという人もいます。

 恋人と一緒に鳴らすと愛が成就するとの噂がある「幸せの鐘」や、手紙を投函すると1年後に届くという「タイムカプセルポスト」など、ユニークな設備もあって記念になりそうです。

 また、最近は「おもしろ系」SA/PAも増えてきており、人気急上昇中なのが上信越道の「佐久平PA」。じつはここには、PAの第二駐車場からジャンボエスカレーターでそのまま入場することができる、「佐久平ハイウェイオアシスPARADA」が直結されているのです。

 アスレチック施設やドッグラン、昆虫体験学習館、全長420mのスーパースライダーをはじめ、さまざまな遊具が揃う多目的広場は子どもたちにも大人気。レストランやバーベキュー広場、カフェに加えて、標高1155mの平尾山へのトレッキングまで楽しめるという、1日遊べるスポットになっているのです。

 ところで、この2カ所はどちらもPA(パーキングエリア)となっていますが、そこで不思議に思う人はいませんか? 昔から、高速道路にはSA(サービスエリア)とPA(パーキングエリア)があり、どちらかというと設備が豪華で広いのがSA、トイレくらいしかない簡素なほうがPA、というイメージをもっていた人が多いのではないでしょうか。

PAは必要最低限でSAはより豪華な設備がある

 国土交通省の見解でも、「高速道路の休憩施設は、提供するサービスの内容、休憩施設相互の位置関係によりサービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)に区分しています。一般的にはサービスエリアには休憩所、駐車場、トイレに加え売店、食堂、給油所などが備わっており、パーキングエリアには駐車場、トイレ、必要に応じ売店が備わっております」となっています。

 設置される場所についても、高速道路各社の見解によると、「PAはだいたい15km間隔にひとつ、SAは50km間隔にひとつを目安に設置することになっています(ただし、路線の特徴などを総合的に勘案して設置する場所を決めるので、必ずしもこの距離ごとにあるわけではありません)。高速道路を建設するとき、この目安にもとづいて、前後のSA・PAの立地状況を見ながら、新しく作る休憩施設がSAなのか、PAなのかを計画します。開通後にSA・PAの施設・提供するサービスの内容が変わったからといって、呼び方がSAからPAに変わったり、PAからSAに変わったりはしません」ということだそうです。

 ところが近年は、昔と比べて高速道路の交通量が増えていることや、SAやPAを利用して高速道路への出入りが可能となったスマートICの設置、一般道からも利用できるように駐車場が併設される施設が増えていることなどによって、その役割が変わりつつあると考えられます。

 たとえPAであっても、昔よりたくさんの人が訪れるようになれば、休憩だけでなく食事や買い物、そのほかのサービスの需要が増え、その集客力を利用して行政などが観光スポット化を計画することも。佐久平PAはその一例といえるでしょう。

 また、関越道の三芳PAは、当初はPAとして設置されたにもかかわらず、関越道でもっとも東京寄りに位置するなるため、「都内/首都高に入る前に寄っておこう」と立ち寄るクルマが多く、食事や休憩のための施設が拡充されていき、SA並みの充実度となったそうです。

 いずれにしても、その土地その土地の特色あふれるSAやPAは、ドライブ中の楽しみのひとつ。これからもおもてなし精神を感じられるような施設が増えることを願います。