とある水族館で展示されているウツボの不思議な行動をとらえた画像が、「まるで日本の縮図」「THE 日本人」と話題になっています。ウツボの心理を聞きました。

「THE日本人」

話題になっているのは、高知県室戸市にある「むろと廃校水族館」(@murosui_kochi)がXに投稿した画像です。


《なぜ、空いてる筒に入らないのだ。》


画像には、水槽の中に設置された透明のパイプが3本。うち1本には大きなウツボが3〜4匹、ぎゅうぎゅう詰めの状態になって、パイプから頭を出しています。

しかし、傍らにある2本のパイプは空っぽです。

この投稿には、「日本の縮図ですね。狭い都市部に住みたがる」「都会人あるある」「THE日本人」といったコメントや、「孤立してると狙われやすいから?」「さみしがりやなのかな」とウツボの心理が気になる人もいて、3万超のいいねがつきました。

「海のギャング」ではなくて

むろと廃校水族館の学芸員、千原周さんに話を聞きました。

ウツボたちは、同館の2階にある専用水槽で飼育されています。

画像にあった透明のパイプは、ウツボたちの「隠れ家」だそうです。「海では穴場や岩場などの隙間にいて、天敵から狙われないように隠れて生活しています」


ウツボというと「海のギャング」や、悪い海の魔女の手先など、凶暴なイメージでしたが、隠れて生活しているなんてちょっと意外です。

「実はおとなしいんです。こちらからちょっかいを出さなければ、かんでくることもあまりないです」

子どもたちに人気

なぜ、話題になった「ぎゅうぎゅう詰め」状態になったのでしょうか。

千原さんによると、ウツボはもともと「体に何かが触れている方が安心」という性格。そのため、パイプに入るのを好むのですが、「普段は1〜2匹程度で、分散しています。1カ所に集まるのは珍しかったので、写真に撮りました」。

おとなしくて、くっつきたがりのウツボたち。

同館では、特に子どもたちに人気があるそうです。

「目玉がないのが目玉」だけど

4月26日で6周年を迎える、むろと廃校水族館。

廃校を利用した展示は「ノスタルジーの塊」などとSNSでもたびたび話題になっており、いま25メートルプールには「ブリの群れ」が泳いでいるそうです。

最近の「目玉」を聞くと、千原さんは「『目玉がないのが目玉』っていうのが方針なんで…」と少し考えつつ、「今年のゴールデンウィークには、階段に『貝』を展示しますね!」。

間もなく、近海の貝の標本を並べた「カイ段」が現れるそうです。

また、こどもの日に合わせた5月3日〜5日には、小学生以下を対象に「せいくらべ」を開催します。

「はしらのきずはおととしの〜♪」の歌にちなんで、「柱」を設置するそうです。

今年で4年目で、各年に傷をつけた「柱」は、きちんとイベント後に館内で「常設展示」しています。

「毎年来てます」という参加者もいるそうで、「柱」につけた傷と自分の背を比べる子どもたちが館内をにぎわせます。

むろと廃校水族館の情報

X(旧ツイッター):https://twitter.com/murosui_kochi
登校・下校時間(開館・閉館時間):4〜9月9:00〜18:00、10〜3月 9:00〜17:00 
※年中無休
入館料:大人(高校生以上)600円、小・中学生は300円