【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が南北共同連絡事務所と軍通信線を通じた韓国との定時連絡に応答しなくなってから約1カ月が過ぎ、通信線の不通が長期化するとの見通しが出ている。

 軍当局によると、北朝鮮は6日午前9時の定時連絡に応じなかった。南北共同連絡事務所を通じた定時連絡は休日には行われないが、連休前の最後の平日である4日午後5時の通話にも応答はなかった。

 北朝鮮は先月7日から定時連絡に応じていない。

 南北の連絡チャンネルを韓国側が偶発的状況を防ぐための意思疎通の手段と考えてきたのに対し、北朝鮮はこれを韓国に対する立場の変化を表す道具として利用してきた。

 北朝鮮が一方的に連絡を遮断した明確な理由は示されていない。韓国政府は、3月に行った韓米の大規模合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾、FS)」に続き、政府が先月北朝鮮に対し開城工業団地の無断稼働を中止するよう求めたことが決定的なきっかけになったと推定している。

 北朝鮮の応答拒否は長期化する可能性が高い。統一部の関係者は「これまでの例では、特別なきっかけがあるか北が必要性を感じた際に通信線が復旧されており、現在の情勢と北の行動からみて定時連絡の再開までは時間がかかりそうだ」との見通しを示した。

 北朝鮮は韓米首脳が発表した、拡大抑止強化の合意を盛り込んだ「ワシントン宣言」に対し不満をあらわにしており、南北の対立は深まっている。

 過去にも北朝鮮が定時連絡に1年以上応じなかったことがあった。

 2020年6月には北朝鮮向けのビラ散布に対する抗議として連絡チャンネルを遮断し、直後に南北共同連絡事務所の建物を爆破した。翌年7月には南北首脳間の親書交換を機に「相互の信頼を回復するため」として13カ月ぶりに通信線を復旧した。

 16年2月には、韓国が南北経済協力事業・開城工業団地の操業を停止したことに反発して長期間にわたり定時連絡を拒否したが、18年1月に平昌冬季五輪への参加を表明し、通信線を復旧した。