【ソウル聯合ニュース】韓国がロシアの侵攻を受けるウクライナに対して砲弾の迂回(うかい)提供に動いているとする米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道に関し、韓国大統領室の高官は25日、「国民の知る権利を尊重するが、外交的な変数も考慮している」と聯合ニュースの電話取材に答えた。韓国が米国に数十万発の砲弾を送っており、米国がこれをウクライナに送る手配をしていると報じられたが、同高官は否定も肯定もしなかった。

 韓国政府は人道、財政面でウクライナへの最大限の支援を再三表明しながらも、ロシアとの関係を考慮して兵器支援に関しては慎重な立場を取ってきた。

 趙太庸(チョ・テヨン)国家安保室長は24日の国会運営委員会でウクライナに弾薬を支援するかと問われ「これまで人道的、財政的な支援をしている」とした後、「ウクライナは違法な侵略を受けた。今後の戦況を見定め、別の状況を考慮して検討する予定だ」と答えた。

 戦況によっては、ウクライナへの弾薬支援の可能性もあることを示唆したと受け止めることができる。「グローバル中枢国」を目指す尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領も価値の外交、国際社会への寄与に何度も言及している。

 ただ趙氏は前日の答弁で「私たちがウクライナに直接(砲弾を)支援することはない」と述べ、ポーランド経由の迂回支援という話も事実でないとした。

 韓国は昨年11月、米国に10万発の砲弾を輸出した。これとは別に砲弾の貸与契約も結んだとされるが、貸与の規模は明らかになっていない。

 韓国政府関係者は聯合ニュースの取材に「民間人の大量虐殺などが発生すれば直接の武器支援を考慮することもあり得るだろうが、まだそうした段階ではない」と答えた。

 一方、尹大統領が訪問先の日本で21日にウクライナのゼレンスキー大統領と会談した際に要請された地雷除去装備などの非殺傷装備は、近くウクライナに直接供与される見通しだ。大統領室高官は軍当局が担当しているとしながら「国内の在庫と輸送方法が確認でき次第、早急に送る」と説明した。