【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の安全保障戦略をまとめた最上位の指針「国家安保戦略:自由、平和、繁栄のグローバル中枢国家」が7日公開された。

 文在寅(ムン・ジェイン)前政権が2018年に「平和・繁栄の朝鮮半島」実現をテーマにした国家安保戦略を出してから5年ぶりの改定となった。

 今回は、北朝鮮核問題への平和的なアプローチを土台に朝鮮半島における平和定着を最優先にした前政権とは異なり、韓米同盟および韓米日安保協力を強化し、北朝鮮に対しても「原則を通じた南北関係の正常化」を推進することを基調として示した。

 まず、北朝鮮の核・大量破壊兵器について、最も優先して対応するべき安保脅威とし、「北の核・ミサイル脅威に能動的に対応するため、韓国独自の対応能力を画期的に補強する」と表明した。

 文在寅政権は北朝鮮の核脅威に関して特別な記述をせず、当時の南北首脳会談、朝米(米朝)首脳会談に触れ、「北核問題の平和的解決が可視化している」と紹介していた。

 文政権は北朝鮮非核化ロードマップの主要段階として朝鮮戦争の終戦宣言と平和協定の締結を掲げていたが、今回はいずれも盛り込まれていない。

 これと関連し、大統領室の高官は記者団に対し、「前政権は5年間、朝鮮半島に多大な関心と時間を投じた」とし、「現政権は同じ朝鮮半島問題へのアプローチでも、世界の主流となっている見解、主要な同盟勢力や安保能力を結集できる友軍との価値と利益の共感を形成し、朝鮮半島問題にアプローチすることに違いがある」と説明した。

 大統領室は前政権との比較表を参考資料として提供するなど、前政権との違いを強調した。

 尹大統領が昨年8月15日、光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)の記念式典での演説で北朝鮮に提案した「大胆な構想」についても盛り込まれ、北朝鮮の非核化に向けた解決策として有効だという点を改めて確認した。

 また南北交流を巡り、「南北交流協力事業を推進する過程において、一部団体と事業者による違法行為、逸脱行為が発生した」とし、南北交流協力の関連法や制度を整備し、違反などがあれば厳格に取り締まってペナルティーを与えると表明した。

 韓日関係に関連する部分も前政権と異なる。現政権は「日本と普遍的価値を共有しながら朝鮮半島と地域・グローバルレベルの協力を強化する」と盛り込んだ。

 前政権は「歴史歪曲(わいきょく)および独島に対する不当な主張などに断固として対応する」としたが、今回はこうした言及はなかった。

 前政権では韓米日の協力に関連する記述もほとんど盛り込まれなかったが、今回は新しい水準で韓米日協力を向上させるという方針が繰り返し示された。

 また東アジアにおける外交では、韓日関係改善の成果が強調され、日本、中国、ロシアの順に扱われた。

 大統領室高官は「決まった法則はないが、憲法と自由の価値志向において(われわれと)少しでも近い国を(先に)配置するのが基準ではないかと思う」と説明した。

 国家安保戦略は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権以降、歴代の政権が発足直後に発表してきた。