【東京聯合ニュース】日本による植民地時代の韓国人徴用被害者、故イム・ヨンスクさんの夫の金明培(キム・ミョンベ)さんが27日、日本の富山市内で開かれた機械メーカー・不二越の株主総会に出席し、徴用被害者への謝罪と賠償を求めた。

 金さんは先月25日、不二越に対し賠償を命じた韓国大法院(最高裁)の判決が確定したことに対し「うれしい」としながらも「韓国の財団(韓国政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」)が不二越の代わりに賠償金を支給するといっても、私はそのような金を受け取らない。私は金のために富山まで来ているのではない」と強調した。

 大法院は、徴用被害者と遺族らが不二越を相手取って損害賠償を求めた訴訟3件の上告審判決でそれぞれ下級審判決を支持し、不二越に対し原告1人当たり8000万ウォン(約900万円)〜1億ウォンの計21億ウォンと遅延損害金の支払いを命じる判決が確定した。

 しかし、不二越は1965年の韓日請求権協定によって解決済みだとして賠償を拒んでおり、原告らが同社から賠償金を受け取れる可能性はほぼない。

 韓国政府は、日帝強制動員被害者支援財団が日本企業に代わって賠償金と遅延利息を支払う方針を示している。

 金さんは不二越の黒沢勉社長に対し「日本政府と企業の傲慢な態度が、韓国で植民地時代を経験していないわれわれの子どもと孫たちの怒りを買っている」として「このままでは不二越に未来はない」と警告した。また、被害者に謝罪と賠償を行うのが当然なのに問題が解決されないのは歴史を忘却したためと指摘。不二越が直接謝罪と賠償を行うよう求めた。

 金さんは不二越の株式を保有しており、株主としてこの日の株主総会に出席した。

 日本の市民団体関係者によると、黒沢社長は金さんの発言を受け、強制連行は株主総会と関係がなく、当社はこれまで一貫して強制連行、強制動員、未払い賃金はないという立場だと説明。大法院判決に対しては、日本政府と相談して適切に対応すると述べ、事実上賠償を拒否した。

 日本の林芳正官房長官は先月の大法院判決の直後、判決は韓日請求権協定に明らかに反するもので、極めて遺憾であり決して受け入れられないと反発した。

 イム・ヨンスクさんは国民学校(小学校)の卒業を控えた1945年3月、軍需企業だった不二越の工場に動員され、飛行機の部品を作った。食事は不足し、賃金を受け取ったこともなかったという。

 2003年に不二越を相手取って富山地裁に損害賠償訴訟を起こしたが、裁判の途中で亡くなった。

 富山地裁は11年、強制連行と強制労働については認める一方、個人の賠償請求権は消滅したとして原告の訴えを棄却した。

 その後、夫の金さんが遺志を受け継いで不二越に謝罪と賠償を要求している。