2024/5/6 09:52

ホンダN-BOXと三菱デリカミニ、大人気の裏側…未使用車が大量に中古で流通

スピード

2023年に販売されたクルマのなかから、No.1を決める「日本・カー・オブ・ザ・イヤー」は、トヨタ自動車「プリウス」が輝いた。

ウクライナ紛争をきっかけにエネルギーの供給不安が広がり、BEV(電気自動車)を強く押し進めていた欧州車ブランドにもブレーキがかかった。一方、北米ではBEVブームが沈静化し、日本車のハイブリッド車に人気が集まり、在庫不足が続いているという現象も起きている。

100年に一度の変革期といわれている自動車業界のなかで、日本市場において安定した人気を誇っているのが軽自動車だ。新車販売台数の約4割を占める軽自動車は、ボディサイズやエンジン排気量に制約はあるものの、税金などのランニングコストが安いことからセカンドカーとしてだけでなく、最近では子育てを卒業したシルバー世代のファーストカーとして活躍している。

ひと言で軽自動車と言っても、定番のハッチバックや広い室内空間が特徴のハイトワゴン、人気急上昇中のSUV(スポーツ用多目的車)、そしてオープンカーなど様々なボディタイプが選べることが、多くのユーザーを惹きつけている要因なのだろう。

さすがベストセラーカーのN-BOXと言いたいところだが、実際にそんなに売れているのだろうか。それほど売れているのであれば、もっと街で見てもよいはずだ。そこで大手中古車検索サイトを調べてみると、驚きの事実がわかった。

 N-BOXの中古車は約1万9000台流通しているのだが、そのうち約1万2000台が旧型となっている。その旧型の中古車のうち、「2023年式、走行距離500km以下」という条件でソートを掛けると、なんと約2200台がヒットした。これはどんなクルマなのかというと、軽自動車の中古車で多く流通している“未使用車”と呼ばれるクルマだ。未使用車というのは、ユーザーのオーダーがないまま生産して、在庫となっていたクルマを一旦登録し、中古車として市場に流通させることで、人気の高いグレードが多く存在するのが特徴だ。また、2023年10月に登場した現行型の未使用中古車も、すでに400台以上流通している。

 N-BOXは、軽自動車とは思えない内外装や走りの質感の高さが特徴で、ベストセラーカーとして君臨している。その一方で、現在ホンダはN-BOX以外の車種が非常に苦戦しているので、N-BOX頼りの部分が大きい。そこでオーダー以上に生産しているため、かなりの未使用車が市場に出回っているのだ。ホンダの苦しい台所事情に支えられたNo.1と言っても言いすぎではないかもしれない。

続いては、2023年5月に販売開始された三菱デリカミニだ。デリカミニは、もともと「eKクロススペース」として販売されていたモデルのフロントマスクとリアガーニッシュを変更したブランドチェンジモデルで、新型ではない。

特徴はフロントマスクをダイナミックシールドに半円型のLEDポジションランプを内蔵したヘッドライトを組み合わせて親しみやすい表情としたこと。そしてフロントバンパーとリアのテールゲートガーニッシュに「DELICA」ロゴを採用したこと。さらに4WD車は165/60R15サイズの大径タイヤと専用チューニングを施したショックアブソーバーの採用により、路面の追従性を高めるだけでなく、砂利道などの未舗装路を走行する際の安定性と快適性を高めたことだ。

デリカは現在、5世代目の「デリカD:5」が販売されている悪路走破性の高いSUVとミニバンのクロスオーバーモデルで、三菱車の中で「パジェロ」と同じくらい強いブランドだ。

三菱の軽自動車はeK(イー軽)ブランドで販売されていたが、スズキ「スペーシアギア」の登場により、SUV+軽スーパーハイトワゴンという新しい潮流が生まれた。そこで三菱は自社の強いデリカブランドを軽自動車に採用し、eKクロススペース改めデリカミニが登場したのだ。また、デリカミニのテレビCMにはデリ丸というキャラクターを登場させたことで、「ブランドオブザイヤー2023」において、「消費者を動かしたCM展開特別賞」を三菱自動車として初受賞した。

この結果を見てもわかるとおり、軽自動車を購入するユーザー層は性能だけでなく、コマーシャル展開などのイメージ戦略が大切であることがわかる。もともと三菱はSUVに強いメーカーで、軽自動車の主力モデルであるスーパーハイトワゴンにSUVテイストをブレンドしたモデルに注目が高まった時に、デリカミニを登場させることができたという抜群のタイミングだったのが功を奏した。

これがeKクロススペースでは低迷していた新車販売台数が、デリカミニで巻き返しに成功した理由だ。しかし、三菱はデリカミニだけでなく、現在日本では途絶えているパジェロブランドを復活させるなどの策を講じていかないと、この好況は長くは続かないだろう。

詳しくはビジネスジャーナルをご覧ください。

ホンダN-BOXと三菱デリカミニ、大人気の裏側…未使用車が大量に中古で流通 | ビジネスジャーナルホンダN-BOXと三菱デリカミニ、大人気の裏側…未使用車が大量に中古で流通 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部