グリコ、200億円を失う…「進むも地獄、退くも地獄」
社内のシステム更新作業に伴う障害により、ほぼすべてのチルド食品(冷蔵食品)が出荷停止となっている江崎グリコ。
4月初めに障害が発生し、出荷再開時期がいまだに未定という異例の事態だ。
「プッチンプリン」「カフェオーレ」「アーモンド効果」、さらにキリンビバレッジから販売を受託している果汁飲料「トロピカーナ」や野菜飲料の出荷も停止するなど、影響は他社にも拡大している。
「これまで生産・営業・会計など部門ごとで分かれていた古いシステムを統合型システムに置き換えるというもので、大がかりかつ難易度が高い作業であると考えられます」
「本番作業がうまくいく前提でテストや障害時の対応プラン策定を適切に実施していなかった可能性も考えられます」(森井昌克氏/神戸大学大学院工学研究科 特命教授/5月4日付Business Journal記事より)
長期にわたる出荷停止により、グリコの業績は悪化。
さらに、4月22日付「日経クロステック」記事によれば、プロジェクトの当初の完了予定は22年12月であったが延期され1年以上の遅れとなり、投資額は当初の予定金額の1.6倍にも膨れ上がっているという。
「システム更新の総投資額が340億円で、これが当初予定の1.6倍に膨れ上がった金額ということなので、その増加幅は100億円以上となる。加えて障害による減益分が60億円となると、トータルの損失額は計200億円近くになるとみられる。」
「プロジェクトの遅延と障害の責任がグリコとデロイトのどちらにあるのか、またどちらの責任割合が大きいのかは分からないが、一般的に発注元と委託先ベンダのどちらかに100%の責任があるというケースは少なく、裁判に発展する可能性も高いと考えられるが、そうなると両者ともに多額の裁判費用が発生することになるので、“進むも地獄、退くも地獄”というIT業界的には最悪の事態にハマることになる」(大手SIerのSE)
以上、Business Journalからお届けしました。
編集者:いまトピ編集部