2024/5/12 18:22

現金を持ち歩かない人、改札出られず閉じ込められる

モバイルSuicaAmazon

10日に発生したJR東日本の「モバイルSuica」「えきねっと」のシステム障害で、残高不足で改札から出られず“閉じ込め”状態になったり、予約していた新幹線に乗れないといった報告がSNS上で続出。

JR東日本は原因についてサイバー攻撃によるものだとしており、10日22時51分、X<旧Twitter>上で「現在は比較的つながりやすくなっております」と報告している。

「どのようなサイバー攻撃が行われたのかは分からないが、同時に大規模な数のアクセスを仕掛けるような攻撃を受けてシステム負荷が急増し、処理遅延が生じたというケースも考えられる」(大手SIerのSE)

チャージ残額や定期券などのタッチは利用可能であったものの、降車時に残高不足で現金を持ち合わせておらず改札内に閉じ込められたという報告や、「えきねっと」の障害により予約していた新幹線に乗れないという報告がSNS上でみられた。

「原因は正確には不明だが、頻繁に起きるとは考えづらい。トラブルが起きると決済ができないことはあるが、『それが年に何度あるのか』がポイント。おそらく現状では年に1度あるかないかなので、過剰に対応して不便になるのは本末転倒といえる」(ITジャーナリスト・西田宗千佳氏)

JR東日本は、つながりにくい場合の対処法として以下を案内している。

・アプリからのチャージ → コンビニや駅設置のチャージ機で現金でのチャージをご利用ください。
・グリーン券の購入 → 券売機にてカードタイプのSuicaで購入をお願いします。
・定期券の購入 → カードタイプのSuica定期券や磁気定期券をご購入ください。
・定期券の払いもどし → サービス再開後までお待ちください。
・おトクなきっぷ → 券売機での購入をお願いします。
・機種変更/再発行/退会 → サービス再開後までお待ちください。 

つまり、現金を持っていたり、モバイルSuicaではなくカードタイプのSuicaを利用していれば難を逃れることができたということになる。

JR東日本はHP上で「改札を入場した後にチャージ残額が不足となった場合は、のりこし精算機でチャージまたは不足額チャージをしてください」とアナウンスしているが、チャージするための現金やクレジットカードを持っていなければ、どうなるのか。

鉄道会社関係者は言う。

「『お金を持っていないのに電車に乗った』という無賃乗車になるので、厳密に言えば警察を呼ばれることになるが、よほど悪質でない限りは、改札口で駅員に正直に話せば柔軟に対応してくれることが大半。駅員から冷たい扱いを受けるかもしれないが、運賃分のお金を持っていないのに電車に乗ったという非は完全に自分にあると認識して、言い返したりせず従順な姿勢をみせたほうが無難」

「一ついえることは、運転免許証など身分証を持っていないと面倒なことになるかもしれないので、電車に乗るときには身分証くらいは携帯するようにしたほうがよい」

モバイルSuicaをめぐっては、コンビニなどの小売店のレジで決済を試みたところ、自身のスマホには決済完了の通知が届いたが、店舗側のレジでは決済エラーになってしまい、商品を購入することができず、さらにその場で店舗側から返金もしてもらえないという事例がしばしばSNS上でも報告されている。

「店員の操作ミスや、店舗側の決済端末の機械トラブルが考えられます。利用者側のスマホアプリでリアルタイムに表示された決済履歴はまず間違いありませんので、投稿者の方のスマホで決済の通知が来たのであれば、決済はきちんとできていたと考えるのが妥当です」(3月19日付Business Journal記事より)

前出の大手SIerのSEはいう。

現在では決済やEC、デリバリーなどあらゆる機能・サービスをオールインワンで一つのアプリに搭載するスーパーアプリで顧客を囲い込もうとする動きがあル。
ユーザーにとっては便利である一方、システム障害などでそのアプリが使えなくなった場合には何もできなくなってしまう。

「複数の手段を使い分けるのは手間でもあるし、形のあるものを持ち歩かなければならないという手間も生じるものの、何かあった際のトラブルや手間、時間的ロスなどと天秤にかけて考えるというのも重要。今回のような障害が現実に起きることを踏まえれば、決済も電車乗車券もモバイルSuicaに頼って現金を持ち歩かないというのは、ちょっと危険だといえる」

以上、Business Journalからお届けしました。

「全てモバイルSuicaで完結」は危険?システム障害で改札出られず閉じ込め | ビジネスジャーナル「全てモバイルSuicaで完結」は危険?システム障害で改札出られず閉じ込め | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部