洗剤「アタック」大容量のほうが「グラム単価が高い」その理由に納得できるか
Amazonある小売店で、衣類用洗剤「アタック 抗菌EX 部屋干し用」(花王)の容量2.5kgタイプのほうが1.8kgタイプより1グラム当たりの単価ベースで高い価格で販売されていることが話題となっている。さらに、値札には2.5kgタイプは税込価格のみ、1.8kgタイプは大きなフォントの税抜価格の下に小さいフォントで税込価格が表示されており、「消費者に誤解を与える」との指摘も出ている。なぜこのような価格設定、価格表示になっているのか。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。
SNS上に投稿され話題となっている写真には、小売店の棚に「アタック」の2.5kgタイプ(税込698円)と1.8kgタイプ(同458円)が並んで陳列されており、特大サイズのほうのみ値札に「広告の品」と表示されている。1グラム当たりの単価をみると前者は約0.28円、後者は約0.25円と前者のほうが高くなっている。これを受け、SNS上では以下のような反応が寄せられている。
<大容量のほうがお得・広告に載ってるのがお得って思い込んでる層を騙そうとしてる感があって、あまり好きじゃないです>
<詰め替え用とボトルで、ボトルが安い時もあります>
<自分もいつもスマホの電卓で計算しまくってます>
<これはぱっと見騙されちゃいますね>
<危うく大容量を買うところでした>
大きい容量のほうが単価が高いというケースは多いのか。小売り企業関係者はいう。
「まず大前提としてSNSに投稿された写真は、通常よりかなり低価格になっており、常識的な価格設定ではありません。そのため一般的な価格設定のルールから逸脱する例が生じてもおかしくはありません。大きな容量のタイプのほうが小さな容量のものより単価が高いというケースは、多くはないものの、しばしばあります。たとえば仕入れ時期に違いがあり、小容量タイプのほうは仕入れ時に価格が割安になっていて、大容量タイプは割高になっていれば、それが売値に反映された結果として小容量タイプのほうがオトクになるというケースは出てくるでしょう。
また、価格は仕入れ価格と需要で決まり、そして小売店は利益を上げるために“その価格でも売れるギリギリ高い線”を狙うので、『大容量タイプのほうが需要が高くて売れるので、単価も高く設定します』という行動をとることは、まったくおかしなことではありません。たとえば郊外や地方などの駐車場が完備されていて車で来店する客が多い店舗の場合、『大容量タイプのほうが来店の回数が減ってラクになるので、大容量タイプのほうが割高だとしても手間が省けるので買う』という客が多ければ、その店舗に限っていえば大容量タイプのほうが需要が高いので単価が高くなるロジックも成り立ってきます。なので、グラム単価が高くなるか安くなるか、という観点は、店にとってはあまり重要ではないともいえます。
もっとも今回のケースでいえば、単純に価格の高くて儲けが大きい大容量タイプを広告品とアピールして、あたかも割安であるかのように演出して多く売ろうとしている可能性はあるかもしれません」
では、2.5kgタイプの値札は税込価格のみで、1.8kgタイプは大きな文字で税抜価格を表示している目的はなんなのか。
「2.5kgタイプの単価のほうが高いことがバレやすくなるのに加え、金額の絶対値としては1.8kgタイプのほうが安いことが“より際立つ”ため、『広告の品』とPRしているとはいえ2.5kgタイプのほうが売れにくくなる可能性もあり、店側にとってあまりメリットがあるとは考えられません。なんらかの理由で1.8kgタイプのほうを売り切ってしまいたかったのかもしれませんが、単純に広告品用の値札のフォーマットが税込価格のみを表記するようになっていて、それ以外の商品は税抜・税込価格の両方を表記するフォーマットになっているだけで、店側に特に意図がないという可能性も考えられます」(同)
最後に、買い物時における容量サイズと価格に関する注意点について、小売り企業関係者はこう指摘する。
「たとえば、同じ商品で割高なはずのボトル容器入りタイプのものが、容器なしの詰め替え用タイプより単価が安いというケースもしばしばみられます。大容量タイプのほうが単価が安い傾向があるのは事実ですが、消費者が考えるほど金額の差は大きくはなく、見過ごしても良いレベルです。たとえば単価が安いからといって大容量タイプを買っても、使い切れずに途中で捨てることになったり、大きくて扱いにくいため容器に補充する際にこぼしてしまったり、大きいサイズゆえに置き場に困ったりすれば、それは損失となります。ですので、単価換算が気になる人はスマホのアプリなどを使って都度計算すればよいでしょうが、自分の利用シーンを踏まえて“どのサイズのものがもっとも使い勝手が良いか”を最優先の条件として選んでもよいと思います」
以上、ビジネスジャーナルから紹介しました。
編集者:いまトピ編集部