2024/5/13 13:56

外資系金融「パワハラなし」が「逆にツラい」

外国人

長時間労働や激務、厳しいノルマを達成しなければすぐに解雇されることなどで知られる外資系証券会社(外資系投資銀行)。

日本企業でみられるような上司からの“あからさまパワハラ”や“激詰め”などは少ないながら、逆にそれがツラいというエピソードが一部SNS上で話題になっているようだ。

外資系投資銀行といえば、激務ながら高額な報酬を得られるというイメージが強いが、少し前に現役の外銀社員がX(旧Twitter)上に、入社1日目の様子を投稿し話題となっていた。

「朝に出社して以降、作成した資料に対し上司から再三にわたり冷静かつロジカルなダメ出しを受け続け、夜23時を過ぎても資料の修正を指示され、仕事が終わらないまま帰宅して翌朝8時台に出社すると、上司が朝4時半に修正してくれていた」

これに対し他ユーザーからは、

<これの怖いところは先輩のハラスメントに該当する態度がないところ。正論でハラスメントなくドンドン詰められるから、ハラスメントされるよりキツイ>

<初日は飲み会から入る商社マンとは全く違う文化>

<投資銀行は特に寿命と引き換えに給料をいただいてますからね。異常な体力と精神力の持ち主が多いです>

などと、さまざまな反応が寄せられている。

実際のところはどうなのか。
外資系投資銀行の現役社員・元社員に話を聞いた。

「私が扱っていた商品の営業部は朝6時30分には全員出社していた。営業担当だったが外回りというのは一切なく、常にどこかの国のマーケットが動いているので、デスクに備えられた4~5枚ほどのディスプレイを常に確認しながら顧客や社内のディーラーなどとやりとりしていた。朝が早い分、日付が変わる時間帯までオフィスに残っているということは少なかったが、レポート作成など残った業務をこなすために土日も出社していた」

「投資銀行部門は9時頃出社して深夜の2~3時頃まで働くというのが普通。なので肉体的な面でいえば投資銀行部門のほうが激務といえるのかもしれないが、マーケット部門は早朝から夜まで何時間もマーケットの動きを注視し続け、ボタン一つ押し間違えただけで多額の損失を生んで己のクビが飛ぶこともあるので、メンタル的な疲労はハンパない」

世間の想像どおり外資系金融はやはり激務。
加えて、外資系投資銀行も解雇の面では社員にとってはシビア。

そのような状況で、上司による“あからさまなパワハラ行為”や“激詰め”といった法的に問題になりそうな行為というのは、コンプライアンスが重視される外資では少ないのか。

「ないわけではない。ボスも高いパフォーマンスをあげている優秀な部下には残ってほしいから優しくする一方、できない部下には冷たく接したり無視したりすることはある。ただ、上司は毎年、部下からも査定されるので、あからさまなパワハラみたいなことはほとんどみられない」

「上司から『なんで、こんな基本的なこと知らないの?』『なんのために席に座ってるの?』などとメチャクチャ詰められることは、しょっちゅうあった。入社1年目でも高額な給料をもらっている以上は、知らないということは許されないという空気がある。なので上司の言うことは正論なので反論しようがなく、怒られても納得するしかない。また、ちょっとミスしただけで同じ部署の外国人のメンバーから英語でキレられたり、八つ当たりされたりというのも日常茶飯事だった」

外銀では、「2000~3000万円というのは珍しくなく、1億円を超える人もいる」というほど高額な給料が魅力でもある。

やはり高額報酬ゆえの厳しさが、そこにはあるのだ。

以上、Business Journalからお届けしました。

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編集者:いまトピ編集部