洗濯後のTシャツ、白と黒で「縮み方が違う」説を検証したらまさかの

暑がりにとってはゲンナリしてしまう天気が続くが、洗濯物の乾きが早いのは嬉しいポイント。梅雨が本格化することで、この利点もしばらく姿を消してしまうが…。
ところで読者諸君は、洗濯した衣類を着用した際に「ある違和感」を覚えた経験はないだろうか。
夏といえばTシャツにポロシャツ、綿(コットン)100%の衣類が大活躍する季節。
綿100%の衣類は洗濯後に若干縮むのがお約束なため、洗濯後のサイズ感を推測しつつ購入するのがセオリーだが、ある日記者の胸に「色によってサイズの縮み方違くね…?」という疑問が生まれたのだ。
具体的には黒(紺)色のTシャツが著しく縮み、一方で白色のTシャツは比較的縮まない印象を受ける。だが、Google先生に「Tシャツ 色 縮み方 違い」などと尋ねてみても、色ごとの伸縮性の違いに関するページはヒットしなかった。
続いてXにてユーザーの声を確かめてみたところ、記者と同様に「白と黒のTシャツでは縮み方が異なる」と感じている人が一定数存在することが判明。中には「染料」がその原因と考えている人もいるようだ。
そこで記者は、新品で購入した白と黒のTシャツを洗濯し、その縮み方を計測することに。そして全国の男女706名を対象として、白と黒のTシャツに関する意識調査を実施。さらに一般社団法人「日本染色協会」に、染料と衣類の伸縮に関する因果関係を尋ねてみた。
気になるその結果は…。
実験で使用するのは、洗濯前の着丈が67.7cmの白いTシャツと、65.7cmの黒いTシャツ。同サイズにも関わらず、洗濯前から既に結構な差が開いているが、個体差が大きいのも海外製バンドTシャツの魅力であり、もはやご愛嬌である。
まずは、一度も着用せずネットに入れて洗濯し、屋外で自然乾燥させると、白いTシャツは67.5cmに、黒いTシャツは64.8cmに縮んでいた。
続いてはそれぞれを1日着用し、同様に洗濯・自然乾燥を行ったところ、白いTシャツは変化なしの67.5cm、黒いTシャツは64.5cmとなっていた。トータルで白は0.2cm、黒は1.2cm縮んだワケである。
念のため他のTシャツでも同様の実験を行ったところ、いずれも白いTシャツは0.2cm〜1.0cm、黒いTシャツは1.0〜3.0cmの縮小となった。
黒は白よりも熱を吸収するので、その影響もあるのでは…とも考え、水色のTシャツで計測すると、こちらは-2.7cmと、黒に匹敵する縮み方を見せた。
ここで「洗濯後のTシャツの縮み方」に関する意識調査の結果を見てみよう。
調査の結果、洗濯後により縮みやすいのは「白いTシャツ」と感じている人は全体の19.7%。「黒いTシャツ」と感じているのは全体の11.0%と判明した。
約7割の人は「特に違いはない」と感じているようだ。前出の実験も踏まえ、記者個人としては「黒のほうが縮みやすい」と感じていたため、この結果はなかなかに意外であった…。
この調査結果を受けて、日本染色協会の担当者は「先に結論を申し上げますと、染料が綿に与える影響はよくわかりません」と断言。
「推論として扱って頂きたいのですが…」と前置きしつつ、「染料が綿の物性に影響を与えるのであれば、然るべきデータがあると思います。ないのであれば、因果関係は薄いと考えるのが妥当です」と、その背景について説明している。
続けて「Tシャツはとても伸縮性に富んでおり、縦方向にも横方向にも伸び縮みするので、バランス良く仕上げる必要がございます」「そして、生地の物性は加工履歴が大きく影響します。白は染色しないので他の染色品とは工程が異なり、収縮挙動も変わりますが、最終仕上時に収縮基準に収まるよう調整するので、白も色物も同一工場で加工したのであれば収縮に問題は無いはずです」と、分析してくれたのだ。
担当者は「縮んだ経験がある方は粗悪品を購入したか、取り扱いが雑であったと推察いたします」ともコメントしている。
念のため「染料」以外の観点から要因を探るべく、衣料品、服飾雑貨、家具等を対象とした性能評価を行う第三者試験機関・一般財団法人「ボーケン品質評価機構」にも同様の取材を打診したが、同機構にも「色毎の伸縮性の差異」に関するデータは存在しないとのことであった。
以上、sirabeeから紹介しました。
編集者:いまトピ編集部