Suicaカード、1年以上も販売停止の謎・・・
Amazon昨年8月にJR東日本が発行する交通系ICカード「Suica(スイカ)」の販売が一時停止となってから1年が経過した。
いまだに販売が再開されていない。
JR東日本は当初、2024年春ごろの販売再開を目指すとしていたが、販売停止の長期化の背景には何があるのか。JR東日本は「モバイルSuica」への移行を狙っているのではないかという見方も一部にはあるが、そのような思惑があると考えられるのか。
販売停止の長期化の理由について、鉄道ジャーナリストの梅原淳氏はいう。
「今後の状況についてJR東日本によると、『製造メーカーからは半導体の不足は改善しつつあると聞いております。今後、Suicaカードの在庫状況が改善し次第、(カードタイプの)Suicaの発売を再開する予定です』とのことだ。すでに他の業界では半導体不足は解消に向かっているのに、なぜと思われるが、十分な在庫が確保できていない状態で新規発行を再開してもすぐに中止となる可能性があり、利用者にはかえってご迷惑をかけてしまうからだという」
JR東日本は24年度からQRコード改札を順次本格導入している。切符予約サービス「えきねっと」で乗車券を予約する際に「QR乗車」を選択できるようになり、チケット購入後、専用のモバイルアプリ上に表示されたQRコードを対応改札に読み込ませることで通過でき、在来線だけでなく新幹線も乗車できるという。そうした流れから、JR東日本としては、このままSuicaカードの新規発行を終了させ、QR乗車やモバイルSuica等に全面移行させたいという意向を持っているのではないかという見方もある。
「現在、JR東日本はカードタイプのSuicaのほか、モバイルSuicaといったアプリタイプのSuicaを用意している。カードを確保する手間が省けるので、JR東日本はアプリタイプのSuicaへと全面移行するのかと考えたくなってしまう。しかし、いま挙げたようにカードタイプのSuicaがいずれ発行再開となるので、今のところは全面移行とはならないと考えてよい。
なお、カードタイプのSuicaとモバイルSuicaとでは各種のポイント還元率が異なる。たとえば、JRE POINT WEBサイトに登録したSuicaの入金残高で在来線に乗車したときなどに得られるポイントは、カードタイプのSuicaでは200円ごとに1ポイントであるのに対し、モバイルSuicaでは50円ごとに1ポイントと還元率が高い。カードを発行する手間分の差ともいえるのだが、JR東日本がモバイルSuicaに完全に移行させようとしているのかどうかは何ともいえないであろう」(梅原氏)
私鉄会社社員はいう。
「Suicaカードは発行コストや在庫・発行済カードの管理の手間もかかるため、会社側としては廃止してアプリに全面移行できたほうがありがたいのは当然。また、JR東日本は銀行のJRE BANKを立ち上げるなど、鉄道・旅行・金融・ショッピングをはじめとするSuica経済圏の拡大を経営戦略として推進しており、利用者をそこに還流させてデータを活用していくためにも、できるだけモバイルSuicaに移行してくれたほうが好都合だろう」
以上、ビジネスジャーナルから紹介しました。
編集者:いまトピ編集部