小学校教員「異常事態」採用合格280人中「7割が辞退」…まるで「定額働かせ放題」
高知県の2025年度採用の教員採用試験において、小学校教諭として合格した280人のうち7割超の204人が辞退するという事態が発生(10月29日時点)。
別の自治体では定員割れも発生しており、背景には残業代なしでの長時間残業や重い業務負荷といった教員の過酷な労働環境が社会的にクローズアップされていることがある。
何か有効な対策はないのだろうか。
中学校教員は語る。
「教員の質の維持という観点から、採用試験の受験倍率が2倍を切るとマズイといわれています」
「受験者数が採用予定数を下回っても、受験者全員が筆記試験や面接で合格と判断されるわけではないので、一定数の不合格者は生じるため、教育委員会は追加募集をかけたり、教職を離れている教員経験者を募集したりします」
「受験者数が倍率2倍を切るほど顕著に少ないと、どうしても数の確保のために合否判定が緩くなってしまいがちになる。すると、これまでだと不合格になっていたような人材も合格するようになり、長期的にみると教員の質の低下につながっていきます」
公立学校教員の志望者が減っている要因の一つが、残業代なしでの長時間におよぶ勤務が常態化していることだ。
公立中学校教員(9月24日付Business Journal記事)によると、
「朝のホームルームから放課後の部活指導や校内分担業務、帰宅後の授業の準備などを含めると、毎日朝7時30分から夜11時まで働いています」
「これに土日の部活指導や研究授業の準備なども加わるので、部活指導に多くの時間を割かなければならない教員の場合は月の残業時間が150時間を超えてきます。そこまで部活動が大変ではなくても残業時間が月100時間を超えるケースはザラです」
「教職調整額が13%に引き上げられても、月のいわゆる定時時間内の労働時間を一日8時間×20日=160時間と仮定すると、その13%で約20時間分にしかなりません。これでは、どう考えても割に合いません」
「教師のなり手不足という意味では、志望者が減っているのに加え、民間企業に転職したり、激務で心身不調になり休職してそのまま退職する人も少なくないです」
こうした実態が生じる原因の一つとして、公立学校の教員には残業代が支給されないことがある。
残業代の代わりに月給の4%相当を上乗せして支給する制度「教職調整額」があるが、「定額働かせ放題、どれだけ残業しても一定の上乗せ分しか支払われない」(5月13日放送のNHKニュース番組)と問題視されてきた。
別の中学校教師は語る。
「今は民間企業の給与が上昇して、かつホワイト企業化が進んでいるため、大学の教育学部を卒業しても教師にならず民間企業に就職する人も少なくないです」
「教員は残業代なしでの働かせ放題になっているのが現状で、民間企業と同様に月45時間なり60時間以上の残業を禁止したり、残業した分はしっかり残業代を支払うといったように、当たり前の仕組みを取り入れない限り、志望者の減少、つまり教員不足の解消は進まないでしょう」
以上、その他詳細はBusiness Journalをご覧ください。
編集者:いまトピ編集部