楽天「TOEIC800点以下」は「給料1割減?」「内定取消し?」その実態
楽天グループは英語を社内公用語としていることが知られている。
そんな中、とある情報がSNS上で話題になっている。
<楽天はTOEIC 800点取れないと給料1割減になるけど、取れる人は転職して行くから給料全体が持ち上がっていて1割減でも満足する人が居座るようになったとか。>
実際のところはどうなのか、楽天に直接聞いた。
楽天は2010年、社内の公用語を英語にする方針を打ち出し大きな話題となり、その後はTOEIC800点が入社条件の一つとなっている。
それまで国内企業でほとんど例のない取り組みで、実現可能性や効果などを疑問視する声も多かった。
楽天は、就職活動をしている学生が内定をもらった時点で条件を満たしていない場合には、英語研修を行い、TOEICで800点を取れるように支援する態勢も整えている。
しかし、仮に入社までに800点をクリアできなかった場合、内定が取り消されるという。
ある人事コンサルタントは語る。
「外資系企業の採用基準の平均がTOEIC720~730なので、800点はかなりハードルが高いですね」
「内定取り消しは、ほかに例を見ないほど厳しいです」
英語の社内公用語化から14年が経過し、社内会議や資料などは英語が使われることから、社員の英語力が上がったのは間違いないが、従来からいる社員などでTOEIC800点をクリアできていないケースもあるという。
英語の社内公用語化から14年が経過し、社内会議や資料などは英語が使われることから、社員の英語力が上がったのは間違いないが、従来からいる社員などでTOEIC800点をクリアできていないケースもあるという。
その場合、給料が減額されるとの情報がX上に投稿されたのだ。
そして給料が1割減ったとしても、それを受け入れる人が一定数いるといい、逆に、有能な人は他社へ流出しているとの指摘だ。
仮にそれが事実であれば、「TOEIC 800点」という入社条件や給料査定の基準は、無意味なものになってしまうどころか、会社にとってデメリットですらある。
楽天の広報部は以下のように回答してくれた。
<「英語」を共通言語にすることによって、各部門における活動状況、ノウハウ、成功事例などの情報が平等かつグローバルにシェアされることに加え、外国籍従業員も疎外感を抱くことが減り、楽天グループへの参画意識が高まっています>
<世界を相手に戦い抜くための情報収集力・競争力も強化されていると考えております>
<国内外問わず、優秀な人材であれば積極的に採用するという方針をとっています。社内の共通言語を英語にすることで、海外子会社従業員や海外からの就職希望者にとっても、開かれたキャリア形成の機会を提供し、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材の維持・獲得が期待されます(現在、グループ全体における外国籍従業員の比率は22.1%となっております)>
<課題として、取り組み当初に従業員への理解促進や英語力向上支援などがありましたが、弊社ではカウンセリングや学習支援プログラムなどを用意し、全社一丸となって取り組むべき重要なことであるというメッセージを伝えつつ、取り組みを推進しておりました>
<上記以外の人事に関するデータにつきましては回答を控えさせていただきますが、離職率は低下しており、人材の定着が進んでいます>
国内外の人材を獲得する際に、英語が公用語となっていることで障壁を減らす効果があり、さらに情報収集力・競争力も強化できたという。
SNSで指摘されていた人材流出についても、離職率は低下しているということで、誤情報といえる。
以上、Business Journalからお届けしました。
編集者:いまトピ編集部