2024/12/11 09:12

40代「おじさん」はパーカー着るな

パーカー

コラムニストで作家の妹尾ユウカ氏が「40歳近くになってパーカー着てるおじさんっておかしい」と発言したことが大きな波紋を広げている。実業家の堀江貴文氏やひろゆき氏、前澤友作氏、お笑い芸人のほんこんなど、さまざまな方面からコメントが発せられ、炎上状態になった。

それに対し妹尾氏は、自分の真意が伝わっていないとしつつ、「ジジイっつーのは先が短いからか早とちりだな!」と挑発して、さらなる反感を買っている。妹尾氏の発言の真意はともかく、40代、50代の男性がパーカーを着るのは避けたほうがよいのか。アパレル業界では、パーカーは中高年男性を想定した製品ではないのか。専門家の見解を交えて検討してみる。
 
独特の恋愛観や歯に衣着せぬ物言いで若い女性からの支持が高井コラムニストの妹尾ユウカ氏が12月6日に、YouTube「新R25チャンネル」に出演し、『【老害おじさん化回避】若者と絡むな、パーカ着るな。“いいおじさん”のすべて【イケオジへの道】』のテーマでトークを展開した。

そのなかで、「若い子と付き合ってるほうが歳を取らない」という考え方を「気持ち悪い」「若い子の中に入ってくるな」などと突き放し、そういう人は若者の要素を取り込んだ服装をしがちで、「40歳近くになってパーカー着てるおじさんておかしい」「ジジイはパーカーでフラフラするな」と持論を展開。
 
この発言に実業家の堀江貴文氏が怒りの投稿。
「50過ぎても余裕でパーカー着てるおじさんです。なんなら自分の着てるパーカーまでプロデュースしてます。おかしいんですかね?おじさんがパーカー着るなとか、若い子と交流するなとか言うのはエイジハラスメントじゃないですかね!!若い女がおじさんのことをdisるのはいいんですかね?逆はめちゃくちゃ叩かれるのに!正直めちゃくちゃ腹立ちますね。この女。」

これに妹尾氏は「ちなみにこれ『商談の際などにパーカー着てる会社員のジジイなんなん?』って話だったのが『ジジイはパーカー着るな『という形で拡散されてしまったんだけど、ジジイっつーのは先が短いからか早とちりだな!!」と真意を釈明しつつ堀江氏を挑発。
 
だが波紋は広がり続け、実業家のひろゆき氏も「こういうタイプの人に寄って来て欲しくないので、パーカーを着る事で両者に幸せが訪れると思うおいらです」と妹尾氏への嫌悪感をあらわにした。お笑い芸人のほんこんも堀江氏の発言に共感しつつ「「誰が何着ようが、何歳でも着ようが、関係あらへんがな」「年いって着たらあかんとか言うてるほうのほうがおかしい」などと妹尾氏にかみついた。

一方で実業家の前澤友作氏は、「話題の妹尾さん、ちょっと毒舌だけど、わかるーっていうのが多くてめちゃめちゃ面白いのでフォローしてます」と妹尾氏に興味を示しつつ、2021年に国際宇宙ステーションに滞在した際の写真をSNSに投稿し、「宇宙でもパーカー着ちゃってた」と自身もパーカーを愛用している様子を紹介した。

■そもそもパーカーは若者の服ではない
妹尾氏の発言の真意や賛否はともかく、アパレル業界としては40代、50代の男性をターゲットとしてパーカーをつくってはいないのだろうか。またパーカーとは、そもそも“若者が着る服”なのだろうか。繊維業界に精通するフリーライターの南充浩氏は、「もともとパーカーは若者の服ではなかった」と語る。
「服装の縛りが緩い業界であれば、中高年男性がパーカーを着ていてもあまり気にならないと思います。堅い職業の場であれば、もちろんパーカーはそぐわないでしょう。ケース・バイ・ケースではありますが、年齢で区切るのはどうかと思います」
 
業界としては、パーカー製品の購買層は若者を想定しているのだろうか。
「パーカーやフーディーと呼ばれる、頭からかぶる商品は、楽に着られるというメリットがあります。コーディネートに頭を悩ませることなく、気軽に着ることができます。最近のアパレルは、楽、快適、洗濯しやすい、といった商品が売れる傾向にあります。特にデザイン、色、材質などにこだわっている方でなければ、パーカーは非常に重宝するアイテムです。

そもそも、1930年代頃に肉体労働者向けの作業着として普及したとされています。それが1970年代にアメリカのロック歌手などが愛用したり、1976年上映の大ヒット映画『ロッキー』でシルベスター・スタローンのトレーニング衣装として着用されたりしたことから、若者の間で広まったのではないかと推測しています。さらに、その頃にアメリカのアイビーファッションでパーカーが取り入れられたこともあり、“若者の服装”というイメージがついたのかもしれません。日本でもこの頃から大学生がパーカーを着るようになり、若者の間で広まりましたが、2000年代前半からマス売場ではあまり見られなくなり、一時期はほとんど姿を消していました。しかし、2010年代半ば以降に復活して、多くのブランドで再び展開されるようになりました」
 
この復活の背後には、どのようなきっかけがあったのだろうか。
「特に目に見えてきっかけがあったわけではなく、そもそも姿を消していた理由もよくわかりません。ただし、その姿を消していた期間中にも、ジップアップタイプのパーカーやフード付きジャケットはありました。ただ、当時はピチピチのタイトファッションがはやっており、そのような服装と相性が悪かったことも要因かと思います。それがダボダボのビッグシルエットのファッションが復活したことでパーカーを着やすくなったのかなと思います。
 パーカーが幅広い層に支持されている理由としては、大きく『コーディネートが楽』『ブルゾンやコートの首筋を皮脂汚れから守る』という2点があるのではないかと思っています。暖かく、着回しもよく、洗濯もしやすい。そのうえ、パーカーの上コートを着れば、コートに汚れが付きにくくなるというメリットがあるわけで、非常に利便性が高い衣料品といえます。
 
そんな便利なパーカーを若い頃に着ていた世代が40~60代になって、今でも着続けていることは、まったく不自然ではありません。年齢が上がったら、若い頃の服装をやめろというのは暴論でしかありません。かつてに比べて、ファッションはエイジレスになっています。昭和の頃に“おじいさん、おばあさんが着ていた服装”を、今の年配の方々が着るかといえば、そうではありません。パーカーも、中高年が着ていてもいいのではないでしょうか。
 
ただ、妹尾氏の肩を持つわけではありませんが、日本人の中年男性はパーカーが“似合いづらい”という側面はあるかもしれません。中年になってくると、丸首の服装のほうが格好良く見えるケースが多いのは実情です。体型や見た目の変化に合わせて、自分の合う服装を選ぶのが良いのではないでしょうか」
 
パーカーは、特に若者の服というわけではなく、どの年代の人が着てもよい。また、TPOに合わせた服装にすべきことはパーカーに限った話ではなく、いつでも、誰にでもいえることだ。年齢で区切って“おじさんはパーカーを着るな”は、ただの暴論として聞き流すべきなのかもしれない。

詳細はビジネスジャーナルをご覧下さい。

40代「おじさん」はパーカー着るな、がファッション常識的に暴論である根拠 | ビジネスジャーナル40代「おじさん」はパーカー着るな、がファッション常識的に暴論である根拠 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部