タワマン、巨額損失か
東洋経済オンラインは、準大手ゼネコンの三井住友建設が現在建設中の「麻布台ヒルズ」で750億円に上る巨額損失を計上したと報じている。
三井住友建設は森ビルが主導する麻布台ヒルズのうち、「麻布台ヒルズレジデンスB」の建築を担当。
当初、2023年3月31日に竣工予定だったが、地下工事の設計変更や部材の不具合に対して不適切な補修が発覚したことなどで工期が遅延し、2025年8月末にまでずれ込む見通し。
なぜ三井住友建設は巨額の損失を出したのか。
不動産事業のコンサルティングを手掛けるオラガ総研代表取締役の牧野知弘氏は語る。
「麻布台ヒルズのB棟について、物件の特殊要因がひとつあります」
「通常の工事に比べて計画地周辺に地下鉄や高速道路が近接しており、杭打ち等の地下工事の際に、当初見積もった以上の大きな工事が必要になったようです」
「建築は一般的に請負契約を結びますが、その時の請負金額では到底まかないきれないほどの追加工事が発生したといわれています。また、それに伴って工期が大幅に延びてしまい、納期を守れなくなって違約金が発生しました」
「さらに、建物を建てている間に部材の一部に不具合が発生し、一部で工事をやり直し、再度工期が延びたのです。工期が延びれば人件費などもかさむので、損失も増えることになります」
「一方で、タワーマンションをはじめとして大型施設の建設を請け負うこと自体が、非常に難しくなってきているという側面もあります」
「大型の工事になるほど、請負契約を結んでから着工、竣工までの期間が長くなるので、何年も後までの工事金額をすべて把握することが困難になっているからです。昨今、建築費が歳月とともにどんどん上昇しており、資材や設備費など後から加わる費用が想定以上に上がるケースも出てきています。そのため、大手ゼネコンも大型工事に対しては腰が引けているのが現状です」
「最近では、働き方改革によって働く日数の制限がかかってきたので、工期も長くなりがちです。また、エネルギーコストの上昇や、円安による輸入資材の高騰など、完成までの費用を見通すことは難しいのです」
三井住友建設は、予定外の追加工事や工期遅延などによって多額の損失を出したわけだが、予定通りに進んだとしても、麻布台ヒルズは赤字になった可能性があるのだろうか。
「実はすでに完成しているA棟を請け負った清水建設も、大赤字だったようです。正確な金額は定かではありませんが、数百億円規模の損失です。したがって、三井住友建設が予定通りに工事を進めることができても、赤字になった可能性は高いでしょう」
ここ数年、食品や日用品の値上がりが続いているが、建築現場でも資材の高騰が勢いを増している。
エネルギーコストの増大や円安による輸入コスト増なども、暗い影を落としている。
そろそろ建築業界にとっての明るい話題が望まれる。
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編集者:いまトピ編集部