トヨタ「ルーミー」、評論家から不評なのに「新車販売1位」
「エンジンのパワーが弱い」など何かと自動車評論家たちから不評だったトヨタ自動車「ルーミー」。
その「ルーミー」が売れているのだ。
4~9月の乗用車の新車販売台数ランキング(自販連公表/ブランド通称名別)では5位につけ、9月の単独車種別ランキングでは1位(10月31日付「ベストカーWeb」記事より)に。
「家族みんなの定番スタイル」を掲げるコンパクトハイトワゴンのルーミーは、公式サイトからも子どもがいるファミリー層をターゲットとしていることがうかがえる。
コンパクトなサイズながら居住スペースが広いのが特徴。
リヤシートを前方にダイブイン格納できるため大きな荷物を格納できる。
収納スペースも豊富で、幅広いバックドア開口部と低い荷室フロア高により重くて大きな荷物も出し入れしやすい。
安全性能面としては、衝突警報機能・衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・対歩行者<昼夜>)、ペダル踏み間違え時の急発進を抑制するブレーキ制御付き誤発進抑制機能、全車速追従機能付ACC、パノラミックビューモニター、標識認識機能、オートハイビームなどを備え、充実している。
また、もっとも安価なエントリーモデル(2WD/エンジン1.0L/乗車定員5名)は156万6500円と求めやすい価格である点も人気の理由となっている。
中古車販売店経営者で自動車ライターの桑野将二郎氏は語る。
「ルーミーは5ナンバーハイトワゴンというカテゴリーの車種になりますが、そのなかでも室内空間の広さや運転しやすさ、両側スライドドアやウォークスルーによる横方向の移動のしやすさ、また多機能デッキボードを跳ね上げることで高さのある荷物を難なく積み込めるラゲッジスペースなど、従来から人気の高い軽自動車のスーパーハイトワゴンを研究し尽くして設計されている点が、売れている要因だと思います」
「エンジンパワーの評判については、最近の軽自動車がパワーも燃費も優れていることから比較すると低い評価になるのだと思いますが、実際に高速道路での走行性や坂道での加速などを比較した場合、これで十分だという評価も多いようです」
「いわゆるハイトワゴンというカテゴリーのなかでも、徹底的にマーケティングされている点が一番の強みだと思います」
「ハイトワゴンというカテゴリーはスズキ『ソリオ』によって開拓されたといわれており、同マーケットはソリオが長らく独占していました。なぜ独占できたかというと、軽自動車のスーパーハイトワゴンのカテゴリーとマーケットが重なるため、需要規模がさほど期待できないだろうと思われていたからです」
「軽自動車は税金面などでメリットはありますが、乗車定員は4人ですし、軽自動車枠内のサイズにも限界があります。そこで自然とリッターカーのハイトワゴンに注目が集まり始めました。価格も同等で燃費や経済性も大差ないながら、5人乗りで広大な室内空間と運転しやすさ、安全性能の高さ、使いやすさを実現。軽自動車のスーパーハイトワゴンを徹底的に研究し、イイとこ取りした作りとなっています。その代表格がルーミーなのです」
「ルーミーは従来のミニバンに多かった7人乗りではなく、あえて5人乗りに割り切って1座席あたりの広さや快適性を重視し、両側スライド&低床ドアや、高さのある荷物を積める工夫を随所に凝らして設計されています」
「搭載する3気筒エンジンはパワーがないといわれていますが、絶対的なパワー感が乏しいだけで走行バランスは案外良く、左右に揺れるロールは車高を考えると優秀なほうですし、高速走行でのふらつきも少ない印象があります」
「また、シンプルなデザインと約156~200万円ほどという価格設定も人気の要因かと思われます」
「ルーミーのデメリットや弱みがあるとすれば、人気車種ゆえ、どこを走っていても同じ色の同じ車と遭遇してしまう、といったことくらいではないでしょうか」
「実は近年は軽自動車やリッターカーなどサイズ控えめな車種の人気が高いこと、とくに地方都市では圧倒的に軽自動車の需要が高いことなどが、ハイトワゴンクラスの人気につながっているのかもしれません」
以上、その他詳細はBusiness Journalをご覧ください。
編集者:いまトピ編集部