大戸屋「客離れ」→「3割値上げ」しかしなぜか人気で行列
Amazonデフレが進行した1990年代後半から2000年代にかけて「ちょっと割高だけど美味しくて健康的」だとして人気を博した和食定食チェーン「大戸屋」。2015年に実質的な創業者である三森久実氏が死去して創業家のお家騒動が起きた頃から業績が低迷。「価格が高い」「料理の提供が遅い」として客数減が鮮明となり業績悪化が叫ばれるようになり、19年には大手外食チェーン運営会社コロワイドから敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられ、翌年に成立。大戸屋ホールディングス(HD)はコロワイドの連結子会社となり再建に取り組むことになったが、それから約5年、大戸屋は見事に息を吹き返しつつあるという。直近3年の間に一部メニューを3割も値上げしたものの行列ができるほど人気が復活しているという。背景には何があるのか。また、930円と1000円にギリギリ満たない価格の人気メニュー「大戸屋ランチ」が集客の大きな要因となっているが、クオリティや価格を勘案すると価格妥当性やコスパはどのように評価できるか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
なぜ大戸屋は復活したのか。また、大戸屋のメニューのクオリティや価格妥当性はどう評価できるのか。飲食店経営を手掛ける飲食プロデューサーで東京未来倶楽部(株)代表の江間正和氏はいう。
現在、大戸屋に客が流れやすい環境が整いつつあるという。
「大戸屋ランチ以外のメニューを見てみると、季節ものや企画ものを中心に美味しそうなメニューが並んでいます。コンサルの視点でみてみると、価格や料理構成の手直しがしにくいほど『ほどほどで、ちょうどいい』と感じます。価格帯としては1100円~1500円が中心であり、ご飯の量を増やしたり小鉢や単品を追加すると軽く1000円を超えます。大戸屋としては1000円以下のお手軽なメニューを用意しながらも、それ以上の単価のお客さんを獲得していくことができそうです。
他店も価格を上げざるを得ない環境になったことで『大戸屋=高い』というイメージが薄まりつつあります。『手頃な価格でそこそこ美味しく、不満のない食事環境』という大箱チェーン店の見本のようなメニューや環境を整えたことで、お客さんが自然と大戸屋に足を運ぶような流れができてきたことが好調の要因ではないでしょうか」
以上、ビジネスジャーナルから紹介しました。
編集者:いまトピ編集部