サイゼリヤ「究極の後出しジャンケン」賢すぎて唸った
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サイゼリヤのキャッシュレス決済やモバイルオーダーの導入をめぐり「究極の後出しジャンケンが優秀」だと話題を呼んでいる。
サイゼリヤは飲食業界のなかでは遅れるかたちで2023年頃から、QRコードをスマートフォンで読み取るセルフオーダー方式を導入。同じく他社に遅れるかたちで21年に全店舗でキャッシュレス決済対応を完了させ、最近ではロボット配膳の導入も進めている。
同社元社長の堀埜一成氏は19年11月19日付「日経ビジネス」ウェブ版記事のインタビューで
<最終的には乗るんですよ。キャッシュレスはやるんです。でも究極の後出しじゃんけんをするつもり。というのは、確かに手数料率もあるんですが、ハード(端末)の開発速度を見てるんです>
<変更に弱い端末を入れてしまうと、PayPayとか新しい決済手段が入ってきたとき、後付けできないとかとんでもないことになる。この分野って開発速度がすごい速いんです。今後どう変わっていくか分かんないんで、そのハード側に金を使いたくないなというのがある。そういうのを見ながら、いつやろうかと考えています>
と語っていたとおり、意図的に導入を遅らせることで可能な限り低コストで高い効用が見込める投資を行っていることがわかる。企業がシステムを導入する際に「後出しジャンケン」という戦略は賢明なのか。賢明だとすれば、その理由とは。逆にデメリットは考えられるか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
小林氏によれば、サイゼリヤが優れているところは、デジタル化する前に内部の仕組みを見直しシンプルにしていることだという。
「モバイルオーダー導入の拡大を見据えて、メニューを整理してシンプルな仕組みにして、単純にすぐに機械化するのではなくて、まず企業の仕組みを見直しているという点は、多くの企業にとって非常に参考になります。仕組みを見直してからデジタル化を行っているところがサイゼリヤの優れたところだと思います。
あえて後発でシステムを導入するメリットとしては、先発企業の失敗事例を十分に観察できるという点と、無駄な投資を抑えることでコストを抑えることができるという点が挙げられます。技術の普及に伴い導入コストがある程度コストが下がってきたところで採用できるというメリットです。
また、モバイルオーダーに関していえば、飲食店で使用されているモバイルオーダーの方式は、すべてのプロセスをデジタル化している形態が一般的ですが、サイゼリヤの場合はメニューは紙のメニュー表で見て、オーダーはスマホからというかたちです。例えばファミリーレストランのジョナサンなども同様の方式ですが、サイゼリヤはメニューをシンプルにして、店舗全体のオペレーションをトータルに考えていろいろな準備をしています。ただ単にデジタル化するのではなく、仕組みを根本から変えているところが大きな特徴になります」
以上、ビジネスジャーナルから紹介しました。
編集者:いまトピ編集部