2025/4/7 15:16

ファミマ、超定番〇〇で「前年比120%」達成?緻密な戦略

ファミマ

コンビニエンスストアの超定番メニューである「おにぎり」。ファミリーマートは「おむすび」と呼んで展開しているが、同チェーンでは3月の「おむすび」の販売数が前年同期比120%という驚異的な伸びを達成した(期間は3月4日~10日の1週間)。定番商品は安定的な販売が期待される一方、大きな伸長というのは難しいようにも思えるが、背景にはファミマのどのような戦略・取り組みがあったのか。同社への取材を交えて追ってみたい。

 
コンビニ各社は安定的な売上を見込める「おにぎり」を重要商品と位置付けて力を入れている。店舗数ベースで国内首位のセブン-イレブンは、米について「おにぎり」に合う品種、産地を厳選し独自の品質基準に合格したものだけを選定し、産地と複数年契約を行い、その地域の一等米とよばれる優良な米を中心に仕入れている。産地や銘柄を訴求した商品については、他品種が混じることがないように管理し、定期的にDNA検査や同位体検査を実施し、問題がないことを確認。セブンで特別に選定した精米機を使って「低温精米」を実施。手づくりの「おにぎり」を再現するために専用の機械を使用し、手で握ったように外はしっかり、中はふっくらとなるように握り、一口目から具材が感じられるように具材の入れ方も工夫されている。京都の老舗米問屋「八代目儀兵衛」監修の商品も消費者に認知されつつある。

昨年には従来からあった「紅しゃけ」(税込189円)の販売を継続する一方で「手巻おにぎり しゃけ」(138.24円)を発売。「手巻おにぎり ツナマヨネーズ」を事実上、151.20円から138.24円へ値下げし、9月には手頃な価格の「うれしい値!」商品を拡充すると発表し、低価格帯の商品にも注力し始めたとして注目された。ちなみに、その後、「手巻おにぎり しゃけ」は149.04円に値上げされ、1月には「おにぎり」「お弁当」などの一斉値上げに踏み切った。最近のセブンの「おにぎり」としては「具だくさんおむすび かに玉」(300.24円)や「天タレまぶしおむすび 小海老入り」(138円)などがSNS上で好評だ。

ローソンは今月1日、ボリューム感あふれる「具!おにぎり」として「丼(どんぶり)」をテーマとした「まるでまぐろたたき丼とろたく風」(354円)と「まるでチキン南蛮丼」(同)を発売。米にこだわった「金しゃりおにぎり」シリーズなどを展開し、「悪魔のおにぎり」シリーズも人気となっている。

■約20億円を投じて新型の手巻おむすび成型機を導入

ファミリーマートは23年、約20億円を投じて新型の手巻おむすび成型機を導入して「おむすび」をリニューアル。お米とお米の間に空気を抱き、最適な圧力で成型することでふっくらとした食感を実現。「コシヒカリ」と「ひとめぼれ」を使用し、最適な比率でブレンドすることで、ふっくら食感とごはん自体の美味しさがより感じられるように工夫している。振り塩に使用している「瀬戸内の藻塩」の旨味、味わいを向上させ、塩の振り加減も見直し、おむすびに対して均等かつ正確に「塩振り」できるよう新たに「塩振り機」を導入している。

 そのファミマの「おむすび」が前述のとおり売れている。直接的な要因としては、3月に投入した複数の商品の同時ヒットだ。東京・豊島区のおにぎり専門店「ぼんご」監修の「手巻 肉そぼろ(卵黄ソース)」(198円)、「手巻 高菜明太マヨネーズ」(同)、さらには「大きなおむすび」シリーズの「昆布とツナマヨネーズ」(258円)を3月4日に発売し、3商品合計の累計販売数合計が1週間で300万個を超えるヒットを記録した。

なぜ大幅な販売数の伸長を生むことができたのか。ファミリーマートは取材に対し、次のように説明する。

「近年、専門店の増加やインバウンドをはじめとする国内外での需要の高まりにより、おむすびの消費支出額も伸長しています。ファミリーマートでも、定番商品の刷新やコラボ商品、サンドおむすびなど、さまざまなかたちでバラエティーに富んだ商品を展開し前年比約120%で推移しており、ファミリーマートの看板商品となっております。

当社のおむすびの戦略としては、価格帯を低・中・高の3つの価格帯でバランスよく品揃えを行い、お客様のさまざまなニーズに応えることができるように考えております。『SPAM(R)むすび』や『ごちむすび』など、ファミリーマート独自の高価格帯のおむすびが好調な一方、140円以下の低価格帯についても好調で、こちらは定番商品のほか、海苔を巻かずにコストを抑えたバラエティおむすびの動向も良いです。

3月より、大谷翔平選手におむすびアンバサダーに就任いただき、おむすびのおいしさに加え『本格感』を訴求してまいります。大谷選手におむすびアンバサダーへ就任いただいた理由は、『本格感・メジャー感でこれ以上の方はいない』『大谷選手が無類のおむすび好き』『日本一のおむすびを目指すという当社の考えに共感してくださった』点です。無類のおむすび好きである大谷選手とともに、ファミリーマートの本格的なおむすびをさらに広めていくために、アンバサダーに就任いただきました。大谷選手就任後、おむすびは販売前年比で120%を超え、対象のおむすびは発売から1週間で累計販売数合計300万食を突破しました。過去最高レベルのおむすびキャンペーンの効果が出ております。現在、『大谷おむすびキャンペーン』第1弾として『#大谷選手ファミマおむすび割』などさまざまな取り組みを行っております。今後もいろいろなかたちでキャンペーンに登場いただく予定です」

詳細はビジネスジャーナルをご覧下さい。

ファミマ、なぜ超定番おむすび販売「前年比120%」達成?緻密な3価格帯戦略 | ビジネスジャーナルファミマ、なぜ超定番おむすび販売「前年比120%」達成?緻密な3価格帯戦略 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部