業務スーパー、毎月新規出店「近くに業スーあって助かった」

大容量・低価格の食品を豊富に取り揃える「業務スーパー」を運営する神戸物産の業績が好調だ。全国約1,100店舗を出店した今も毎月、新規出店を重ねている。
今回は、神戸物産の衰えを知らない業績拡大の背景にある取り組みや戦略について話を聞いた。
――貴社の業績が順調に伸びている要因についてお聞かせください。
原料から製造工程まですべて神戸物産グループで企画したのちに、自社グループ工場で製造し、業務スーパー各店に卸すというプロセスのため、高品質の商品をベストプライスで提供できることが当社の強みです。
加えて、約1,100店舗という規模のスケールメリットを活かした大量仕入れも、低価格を実現するための重要な要素となっています。
そして、業務スーパー店舗においてその安さを実現しているのが「ローコストオペレーション」です。ローコストオペレーションは人件費を抑えて、店舗運営を実現する取り組みです。
たとえば、商品補充の場合、通常のスーパーでは商品を棚に入れ、余った商品をバックヤードに運ぶ必要がありますが、当社ではそういった作業をできるだけおこなわないような店舗設計を採用しています。
具体的には、商品棚を十分な奥行きで設計し、商品1ケースをまるごと陳列できる仕様としています。また、冷凍商品用に大容量の冷凍什器を導入することで、大量の商品を一度に陳列することが可能です。これが実現できるのは、商品を自社で企画しているため、商品の入数や規格をコントロールできるからです。
また、「エブリデイロープライス」という方針を採用しており、日替わりセールのような販促活動は基本的に行いません。これは、チラシなどの広告費や、セール用の売り場作りにかかる人件費や時間を削減するためです。
このように販売管理費を抑えることで、その費用を商品価格に還元し、お客様により安価で良質な商品を提供することを実現しています。
――貴社の強みとなっている取扱商品の特徴を教えてください。
当社の商品は、「NB(ナショナルブランド)商品」「国内PB(プライベートブランド)商品」「輸入PB商品」の3つに分類できます。
NB商品の特徴は、有名メーカーにこだわらない点です。ネームバリューにこだわらず良い商品を積極的に取り扱うという方針で選定しています。知名度が少ない商品でも、安くて品質の良い製品が多くあるんですよ。
国内PB商品の特徴は、当社の完全オリジナルの商品である点です。お客様のニーズや時代に合わせた商品を柔軟に製造できることが大きな強みです。
輸入PB商品は、世界約50の国や地域から商品を直接仕入れています。メーカーや問屋を介さない直接仕入れにより、中間マージンを省いたベストプライスでの提供を実現しています。また、世界の本物を直輸入し各国の有名な食品はもちろん、現地でしか知られていないような珍しい商品も多く取り揃えています。
――ニッチな需要に応える商品展開は、どのように利益につながっているのでしょうか?
他社では置いていない商品を業務スーパーで提供することで差別化を図り、それによって売上を確保していく戦略を取っています。
鮮魚が必要な場合は他社スーパーをご利用いただく必要があるでしょう。必ずしも業務スーパーだけを利用してほしいとは考えておらず、他社スーパーとの共存を目指しています。ただし、共存しながらもオンリーワンでいたいと考えています。
近年、海外から多くの労働者の方々が来日されていますが、母国の食品を入手することが難しい状況です。たとえば、ハラール商品は一般のスーパーではほとんど扱っていませんが、当社では積極的に取り扱っています。
その結果、ハラール商品を望まれるコミュニティの中で「業務スーパーにはハラール商品がある」という評判が広がっており、多くの方々にご利用いただいています。
当社が目指しているのは「食のインフラ企業」です。インフレ下でも安く提供でき、他社にない商品を取り揃え「地域に業務スーパーがあって助かった」と思っていただけるようになりたいと考えています。
今後も「良いものをより安く」という理念のもと、品質を維持しながら価格を抑えた商品を提供するため、食の製販一体体制の拡大に注力していきます。
以上、詳細はビジネスジャーナルをご覧ください
編集者:いまトピ編集部