「奥の手」はどちらの手?“日本語の秘密”

「最後の切り札として奥の手を使う」。そんな言い回しを一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。では、その「奥の手」が左右どちらの手を指すのかご存じですか?
なんとなく使っていたこの表現、じつは由来があるんです。
■「奥の手」ってどっちか知ってる?
全国の10代~60代の男女709名を対象に「奥の手」に関する意識調査を行ったところ、全体で4.3%の人が「右手」と回答。
また、全体で81.8%の人が「分からない」と答えました。
■奥の手は「左手」
なお、正しいのは「左手」で、編集部の調査では全体で13.8%の人が正しい回答を選択。
また、年齢別の正解率は10〜20代が17.1%、30代が15.1%、40代が10.0%、50代が14.9%、60代以上が16.9%となり、世代ごとの大きな差は見られませんでした。
■「奥の手」の意味・類義語は?
「奥の手」の意味について、デジタル大辞泉(小学館)では、以下のように記載されています。
①奥義。極意。「奥の手を授かる」
②容易に人に知らせない、とっておきの策。最後の手段。「奥の手を使う」
③《古くは、左を右より大切に思い、尊んだところから》左のほうの手。一説に、二の腕。「我妹子 (わぎもこ) は釧 (くしろ) にあらなむ左手の我 (あ) が奥の手に巻きて去 (い)なましを」〈万・一七六六〉
《類義語》
「秘訣」「こつ」「 便法(べんぽう)」
■左が「奥の手」とされる理由
では、なぜ「左手」が奥の手かというと、古代の日本では「右よりも左のほうが高貴」とされる価値観があり、宮中の儀式や席順においても「向かって左側の位置が上位」とされていました。
こうした背景から「大切なものほど普段は控え、ここぞという場面で初めて使うべき」という考えが生まれ、そこから転じて切り札や秘策を「奥の手」と呼ぶようになったとされています。
日常会話やビジネスシーンでもよく使われる表現ですが、語源を知っておくと、より深みのある使い方ができるのではないでしょうか。知らなかった人は、豆知識としてこの機会にぜひ覚えておきましょう!
しらべぇが伝えています。
編集者:いまトピ編集部