2025/8/8 15:27

スーパーの店先、なぜか「焼き鳥屋」ばかり→「焼きそばやフライドポテトじゃダメ」な理由

焼き鳥

「なぜスーパーの店先にある屋台は『焼き鳥屋』ばかりなのか?」

そんな疑問を抱いたことはありませんか?元スーパー社長の小林久氏に解説してもらいました。

実は、スーパーと「焼き鳥屋」の“切っても切れない”事情があったのです。

<スーパー側のメリット>
①店内での“買い上げ単価”が上げる

焼き鳥」の最大の強みは、なんといってもその“匂い”。焼き鳥の匂いには、人間の空腹感を強く刺激する力があります。特に夕方、空腹と疲れがピークに達する時間帯に漂う「炭火とタレの香ばしさ」は、強力に購買意欲をそそります。

たとえあなたが「焼き鳥」を買わなくても、スーパー店内での“買い上げ単価”を上げる効果が。

②賃料収入

スーパーの駐車場が満車になるのは、比較的都市部にある一部の店舗に限られ、ほとんどの店舗ではスペースに余裕があります。各種イベント(フリマなど)や不定期な催し物より、定期的な収入が見込める“常設”の催事業者は、厳しい経営の中にあって、ありがたい存在。

「店内の焼き鳥の売り上げに影響はないの?」という疑問を持つかもしれません。答えはもちろん「影響あり」です。

しかし対抗するように店内で煙や匂いを出すわけにもいきません。それなら多少、惣菜部の焼き鳥が売れなくなっても、100%純利益になる「賃料収入」を得るほうが店舗全体のメリットが大きいので、「良し」としているのが正解です。

<焼き鳥屋側のメリット>
①客数が多い好条件の場所

お祭りなどの“露店商”とは違って常設営業のため、保健所の営業許可や火気の使用申請、食品衛生責任者の設置などが必要。

客数が多い人気のスーパーで「焼き鳥屋」を営むことは、まさに“宝くじ”に当たったようなもの。そんな好条件の場所はまさに「利権」ともいえ、簡単に第三者には譲りません。

そんな焼き鳥屋で注目すべきは、なんといっても“高い利益率”。

値段も手軽に1本100〜200円ほどで買え、味付けも「タレと塩」の2種類、種類は「ねぎま・モモ・鶏皮・砂肝」など4〜5種類に抑えれば、シンプルで在庫管理も簡単。

1本の原価は30〜40円程度。コンロの炭やガス代、賃料を差し引いても、売り上げの「50%以上」の利益。

たとえば、1日30人のお客さんが焼き鳥を10本ずつ買えば、売り上げは3万円(1本100円換算)で月商90万円。最低でも粗利益ベースで1カ月約40~50万円を稼げるビジネスモデルです。

しかも少人数で切り盛りすれば人件費も抑えられ、夫婦や兄弟で営業するには十分な収入が得られます。

これが「焼き鳥」ではなく「焼きそば」や「フライドポテト」では“客単価”が低く、リピート客も少ないので、ビジネスが成り立ちません。

スーパー側も、焼きそばやフライドポテトでは匂いも弱く、お客さんを店内へ引き込む“相乗効果”が期待できません。

そういえば、最近食べていなかったなぁ……と思ったあなた。ひさしぶりにスーパーの店先で焼き鳥を買ってみませんか?

「おじさん、焼き鳥10本ちょうだい、塩とタレ5本ずつ!」

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編集者:いまトピ編集部