2025/9/26 14:57

「値引きシール」商品を買うのは「恥ずかしいことじゃない」

値引きAmazon

大きな社会問題でもある「食品ロス」。

今回は、老舗スーパー「やまと」の元3代目社長・小林久氏に「食品ロスが少ないスーパーの見分け方」を解説してもらいました。

お店にとって、商品を“廃棄”することは、単に利益が減るだけでなく、生産から販売まで関わった人たちを裏切る行為ともいえ、また環境問題にも加担することに。

そのため、最近のスーパーやコンビニでは、「食品ロス削減」のために、消費期限を延長したり、AIを使って仕入れ量を調整するなど、さまざまな取り組みをしています。

ほとんどのスーパーでは、最終手段である「廃棄」の前に、何段階かの「値引き販売」をしますが、それでも売れ残った商品は“廃棄”するしかありません。

商品を廃棄せず、従業員が持ち帰ることは、全商品で禁止。廃棄するにも処理費用が1トンあたり数万円発生するため、利益を圧迫していきます。

刺身、弁当や総菜、精肉など消費期限が切れた商品は廃棄一択ですが、「野菜・果物」の“廃棄基準”については法律で統一された厳密な廃棄基準はなく、各店舗やチェーンが独自に基準を定めています。

では、「野菜・果物」の“値引き~廃棄”の基準は、どう決めているのでしょうか?

①入荷日

特に葉物野菜は鮮度が落ちやすく、入荷から3日程度で廃棄されています。

②見た目

陳列された野菜の形が悪かったり、一部変色しただけでもお客さんは買ってくれません。 “規格外野菜”は「農産物直売所」では人気でもスーパーに並ぶことはありません。

③再加工の可否

腐りやカビがなく、表面の変色や乾燥程度なら加熱調理に回します。

また、廃棄を生むスーパーの“裏事情”として、スーパーには「欠品は悪」という業界の鉄則があります。

商品が品薄だとお客さんの期待を裏切る、お客さんも豊富な商品の中から選びたい。その結果、当てが外れると大量の売れ残りが発生し、夕方に値引きしても全部は売り切れません。

一方で、こんな極端な例もあります。ある人気の「農産物直売所」では、常に新鮮なものだけを並べたいとの理由で、傷みかけの野菜を一切値引きせず、すべて“寄付”に回して生産者と揉めたことがあるとか。

その後、加工業者と連携してジュースや漬物に二次利用する仕組みを整えて、ようやく落ち着いたそう。

“新鮮さ”を優先する姿勢は立派ですが、生産者からすれば「まだ食べられるのに売らずに人に譲る」ことに納得いかなかったのも当然ですよね。

次に、「食品ロス削減」に真剣に取り組んでいるお店を見分けるいくつかのポイントをご紹介します。

①夕方の「値引きタイム」が“毎日”あるか?

一番わかりやすいのはこれ。夕方以降に惣菜や刺し身に「値引きシール」を貼り始める店は、廃棄を減らす努力をしている証拠。逆に、値引きがほとんど見られないのに、閉店間際にほとんどの商品が棚から消えているのなら、値引きせずにすべて「廃棄処分」している可能性が高いです。

②「規格外野菜」のコーナーがあるか?

形が悪いけれど味は同じ、そんな規格外野菜を安く売っている店は、ロス削減に積極的です。スーパーに限らず、見かけたら積極的に買うと、家計と農家さん、そして環境にも優しく「三方よし」です。

③フードバンクや寄付の取り組みを掲示しているか?

入口やチラシ、ウェブサイトで「食品ロス削減宣言」や「フードバンクに協力中」と掲げている店は信頼できます。

「食品ロス削減」は、スーパーだけでなく社会全体の課題です。

「値引きシール」が貼られた商品を買うことも、恥ずかしいことではなく、立派な「食品ロス削減」への貢献です。

スーパーが努力して変わっている今こそ、次に変わるのは私たちの買い物の仕方なのかもしれません。

以上、詳細はスーパーマーケットファンをご覧ください。

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編集者:いまトピ編集部